1.童話と伝説
2.グリム兄弟の業績
左図は、グリム兄弟の
『子供たちと家庭のための童話』の
増補改訂版(1819)の表紙

Fraktur(ドイツ文字)をラテン文字で示すと、
以下の通り:

Kinder
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und
Haus-Märchen.
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Gesammelt
durch
die Brüder Grimm.
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Erster Band.
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Mit zwei Kupfern.
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Zweite vermehrte und verbesserte Auflage.
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Berlin 1819.
Gedruckt und verlegt
bei G. Reimer.
Aus Abb. von Grimms Kinder- und Hausmärchen, Erster Band,
Eugen Diederichs Verlag GmbH & Co. KG, Köln, 1982, Seite 5
兄ヤーコプ(Jacob)と弟ヴィルヘルム(Wilhelm)は
それぞれ1785年と1786年に、ともに、ヘッセンのハーナウという町に生まれました。
そして二人とも、マールブルク大学で学びますが、
そこで、古いドイツの言語や伝承文学などに興味を持ったらしい。
この兄弟の業績について言いますと、
二人は「童話集」で有名ですけれども、じつは生涯、言語学、文献学の学者で、
その方面での一番の業績は、全16巻(33册)の「ドイツ語辞典」です。
二人は作成の半ばで世を去り、没後、志が学者たちに引き継がれ、
100年余りの歳月を経て、一応の完成に至っています。
これはドイツ最大で、一番権威のある国語辞典です。
それともうひとつ、言語学上の業績として、
ゲルマン語の子音推移(Lautverschiebung
英語では shift of consonantsconsonant shift といった表現になるかと思う)
という現象を体系化しました。
それゆえ「グリムの法則」と呼ばれております。
ギリシア・ラテン語からゲルマン語が枝分かれをしたのち、
ゲルマン語の方に、子音の移行が生じたのですが、
そこに規則性を見い出したということです。
これは、砕いて言えば、ギリシア・ラテン語からみて、いわば直系のフランス語の père は、
傍系の英語の father にあたりますが(英語はゲルマン系の言語)、
また troisthree cœr heart になりますが、
ここには、「 pftkh 」という、「規則的な子音の移動がある」、ということです。
3.童話の収集
4.「シンデレラ」
5.「蛙の王さま」他
6.「千びき皮」とオイディプス伝説
7.ドイツのある大学からの依頼