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比較文法(ドイツ語と英語)
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ドイツ語の比較変化は、英語と同じように、-er, -(e)st である。
英語の形容詞も古くは -er,-est だけによって行われたが、13世紀頃からフランス語の影響などにより、多綴形容詞の場合は、more, most による比較も行われるようになり、16世紀に確立する。
cf.
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Pierre est plus grand que Louise.
Pierre est le plus grand de la classe. |
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英語の最も大きな特徴は、文法上の関係を、語尾変化以外のものを使用する分析語 (analystic language) 、つまり前置詞やあるいは語順などで表現する言語へと進展したことである。
この more, most による比較変化も、その特徴のひとつの現われ。
幹母音の変化 ー 英語でも古くは単綴形容詞に変音するものがあった。
old, elder, eldest はその名残。cf. alt, älter, ältest
ドイツ語でも、16世紀頃までは、英語の than と同語源の denn が専ら用いられたが、今日では特殊な場合を除いて、als を使用している。
度合が漸進的に進むことを表わす場合
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Der Verkehr auf den Straァen wird immer gefährlicher. |
(The traffic in the streets is getting more and more dangerous.) |
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ちなみに、英語ではドイツ語に比して、同じ語句の反復が多い。
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Er versuchte es immer wieder. |
(He tried it again and again / over and over again.) |
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他にも、day after day, on and on など:イギリス人の具体的な思考の現われと見られる。
絶対比較級(相対ではなく)
英語では、この用法はドイツ語ほど用いられてはいない。
次の文の smaller は絶対比較級かと思われるのだが:
There was still room at the big table, and two smaller tables were vacant.
ふつうは、副詞 fairly, rather, pretty, some などを利用するか、表現を変えることになる。
cf.
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Wir machten einen längeren Spaziergang. |
(We took a fairly (rather) long walk. )
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eine ältere Frau |
(a fairly old lady / a middle-aged lady ) |
längere Zeit |
(for some time)
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不定形の「不定」とは、「人称、時制、話法」が決まっていないことを表わす。この三つが決まれば定形(定動詞)になる。
不定形は、従って、主語をもたず、一般的に動作とか状態を表わす動詞形である。そしてこの不定形は動詞や補足語を伴うことができるという点では動詞的機能を持っているが、そのまま主語にもなりえるという点では名詞的な性質も持っている。(to 不定詞のことを考えられたし)
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不定形の語順:
1. 英語とドイツ語との基本的な違いは、いささか乱暴な図式で示せば、英語は、メインの(助)動詞を1 とすると、 1,2,3,4 と並ぶのたいし、ドイツ語は、4,3,2,1 と並んでいることである。
cf.
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heute nach München fahren |
to go to Munich today |
morgen fleißig arbeiten müssen |
to have to work dilligently tomorrow |
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2. zu (to) の位置は:
cf.
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heute nach München zu fahren |
to go to Munich today |
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3. 定形にする場合: メインの(助)動詞が所定の位置で定動詞(定形)になる。
cf.
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Ich fahre heue nach München. |
I go (I'm going / I'll go) to Munich today. |
Ich muß morgen fleißig arbeiten. |
I'll have to work dilligently tomorrow |
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Judith mit dem Haupt des Holofemes
Lucas Cranach d. Ä / um 1530
Kunsthistorisches Museum, Wien
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現在不定形と完了不定形(または単純形と完了形)
cf.
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ein Buch kaufen |
das Buch gekauft haben |
to buy a book |
to have bought a book |
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基本的な三種類の用法(名詞的、形容詞的、副詞的用法)については、おおむね、ドイツ語と英語は共通と言える:
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Zu viel Kaffee zu trinken ist ungesund. |
(To drink coffee to much is unhealthy.)
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Ich habe die Absicht, nach Deutschland zu reisen. |
(I have a plan to go to Germany.)
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Ich arbeite, um meine Frau und Kinder zu ernähren. |
(I'm working to support my wife and children.)
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Komma について: 上の例文のように、不定詞句、すなわち動詞以外の要素が加わった不定詞のとき、ドイツ語では境目をコンマで区切るが、英語ではコンマを必要としない。
その他のイディオム、特に haben+zu 不定形 (have to)、sein+zu 不定形 (be to) は、基本的には英独共通と言えるが、
cf.
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ch habe heute nichts to essen. |
(I have nothing to eat today) |
Das Buch ist leicht zu verstehen. |
(This book is easy to understand.)
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Sis ist zu tadelen. / Das Haus ist zu vermieten. |
(She is to blame. / The house is to let.)
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いくつかの違いもある:
上の形容詞的用法のうち、英語の場合は:Victoria was the first sovereign to live there. というような表現(行為の主体にかかる to 不定詞)も可能であるが、この用法はドイツ語では難しい。普通は副文になるであろう。
また、英語では be to の用法が時代と共に変ってきた。つまり、be to が能動的な「予定」の意味で使われるようになった:We are to meet at 9 o'clock. それゆえ、受動的な意味の義務を表すために、新たに、 be to be の形を利用するようになった:
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That is to be done. / The ring was not be found anywhere.
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形容詞的用法について、追加:
不定詞の意味上の主語が全文の主語と一致しない場合でも、上の例もそうであるが、英語では to 不定詞を利用した表現が可能である。一方ドイツ語では、たいていの場合、副文が用いられる。
cf.
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He spoke too low for me to understand him.
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(Er sprach so leise, daァ ich ihn nicht verstehen konnte.)
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I expect you to work hard.
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(Ich erwarte, daß Sie fleißig arbeiten.)
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他に、疑問詞+to 不定詞の場合も、ドイツ語では、副文を利用する。
cf.
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I don't know how to express it.
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(Ich weiß nicht, wie ich es ausdrücken soll.)
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Please tell me what to do.
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(Sagen Sie mir, bitte, was ich tun soll.)
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見てきたように、ドイツ語の zu 不定形は英語の to 不定詞に比して、かなり用法が限定されている。
ドイツ語では副文にせざるを得ない場合でも、英語では不定詞句で表現可能、ということであり、英語は引き締まった、簡潔な文体を作ることができる。これは英語の優れた特色である。ドイツ語の方は、説明的で、いささか冗長な文章になっている。
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