学部の卒業論文を控えた年か、
 その前年ぐらい(昭和4231967~68)に、
 大学の生協で、オリヴェッティのタイプライタを購入した。
 
独文研究室には、アードラーのドイツ語専用のタイプライタがあったが、
そういう特殊なものは生協の店頭にはなく、
そこに並んでいるものの中から、いちおう英独仏語を打つことができる
「インタナショナル・タイプ」というのものにした。
これはなかなか便利なもので、ドイツ語を打つのにほとんど支障はなかった。
右手小指で第2列右端のウムラウト記号を打つと、このときはキャリッジが止まっているので、
続けて a, o あるいは u と打てば、きちんと ä, ö, ü となった。
ß は無かったので、ss で代用した。
ä, ö, ü の場合でも、無ければ、ae, oe, ue で代用するのは公の約束ごとだから、
これぐらいは止むをえない。
だから、現在のパソコンのキーボードでオプション・キーを押して u を打ち
ついで a, o, u を打てば ä, ö, ü となり、
オプション・キーを押して s と打てば、 ß となるのと、大差ない。
ちなみに、オプション・キーを押すというのは Macintosh の場合だから、
Windows の場合はオールト・キーになるのだろうか?
また、この方法は、なにがしかのワープロソフトを利用した場合に限るようで、
テクスト・エディタの類いや、Excel などの表計算ソフトでは使えない。
テクスト形式や表計算では、そもそも、ウムラウトが使えないようだ。
大学院の学生のときには、列車通学のかたわら、自宅で、
中学生(ときに高校生)相手の学習塾まがいのことをやっていた。
柄にもなく、英語、数学、地理、物理などを教えて(教えたふりをして)いたが、
そのときに、生徒に配る英語のプリントはタイプライタで作った。
薄手のタイプ用紙三枚のあいだにカーボン紙二枚を挟んで打てば、一度に三枚のプリントできあがる。
生徒は1クラス、5、6人だったので、同じ文章を二回タイプすれば、1クラス分のができあがった。
このタイプライタは、前橋まで持参し、研究室に置いた。
今でも、あいかわらず部屋の片隅に置いてあって、ほこりを被っている。
前橋に来た当初は、このオリヴェッティのタイプライタを活用した。
期末試験の問題を作るときには、おおいに役立ったし、
当時のG大学は、受験生に、英語の代わりにドイツ語を選択することも認めていたので、
(ただし全学でわずか2、3人だった)
入学試験の問題作成にも使った。
もちろんドイツ語の部分だけで、日本語の部分は手書きだった。
ドイツ語の入試問題作成は、昭和57、8年ごろ (1982~83) には終わったような気がする。
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