|
9時に支払いを済ませ、出発。駅前の店で、アランチーノを買う。
「ローマ・テルミニ行きのインタシティは5番線」と電光掲示に出ている。
ホームに行くと、5番線に列車が入っているが、車輛番号がない。
家内をホームに待たせて、車内に入ってみると、席にも番号が付いてない。
冷房も入っていない。
他のひともウロウロしている。そんなこんなをしているうちに、アナウンスがあったらしい。
が、聞き漏らした。
連れのところへゆくと、「ひとが移動している」ことを教えられる。
あらためて電光掲示を見にゆくと、いつのまにか、表示は6(番線)に変っていた。
ともかく、この6番線の列車には、きちんと車輛番号も付き、冷房も入っていた。
席は、一番前の車輛の、そのまた一番前のコンパートメントだった。
初め、1時間ほどは、われわれ二人だけ。テルミニで、ひとりの老人が乗り込んできた。
たえず口笛を吹いている。
次のチェファルーで降りた。
乗るときも、降りるときもきちんと挨拶をしていった。礼儀正しい。
今回の旅の車中、初めてくつろぐことができた。
ワインをちびちび飲みながら、アランチーノを味わう。今までので一番おいしい。
次のつぎの駅だったか、中年の男性が、右前の乗車口から乗る。
挨拶をして入って来て、通路側の席にすいと坐る。
新聞を広げ、読みふけっている。「鉄道員だな」と思った。
その次の駅で、30前後の半ズボンにシャツの男性が、大柄なひとだが、
大きな荷物をフラフラしながら棚に載せる。
よほど重たい。鉄道員とおぼしき人が
「その荷物はあぶないからどうのこうの」と注意をしている。
たしかに列車が揺れて、その荷物がずれ、落ちたりしたら、おおごとだ。
言われた男はしきりに気にして、ときどき直している。
メッシーナに着いたら、かの鉄道員、われわれに
「ボンジョルノ、アリヴェデルチ!」と言って降りて行った。
そのあと、こちらも真似て、残りの客(ひとり)に、
同じ言い方で挨拶をし、列車を降りた。
すぐに駅前の観光案内所へゆき、地図をもらう。
メッシーナは昨日からお祭りのはず、そのことを聞くと、
地図に蛍光ペンで行列のコースを書き入れながら、愛想よく丁寧に説明してくれた。
トラムの軌道に沿って歩き、ホテルの方向へ。
すぐに見つかる。第一印象では、合格点。
荷物を置いて外に出る。
さきほど来る途中、スーパーの袋を両手にぶらさげた二人連れを見かけた。
その方向へぶらぶらと。
兄ちゃんが、シエスタで店を閉め、オートバイに跨がった
こういうひとは町内のことに詳しい。
声をかけ「近間に大きなスーパーはあるか」と聞くと、
「二つ目の角を左に、前に大きな建物が見える。衣類の店は閉じているが、
右に回るとスーパーの入り口がある。
そこを地下へ下る」とのこと。
まさしくその通りだった。まずまずの大きさの店。
ワインが棚に並んでいたが、安物ばかり。いちおう店員に尋ねてみたが、
「ジェヌイーノ(天然醸造)は置いてない」
やめにして、ビール(だいたい 500cc が1.1€、330cc は0.95)、
果物、ピクルスなどを購入する。
埠頭へ行ってみた。気持ちのよい風。景色もよい。
ホテルへ戻り、食事にする。
パレルモで買った乾燥サラミを切ってみる。えらく堅い。
切るのがおおごと。が、味は抜群。
かの小店の品はまともだった。
さきほど、フロントで、
「祭りの行列は6時半。ホテルの先の信号のところの道を通る」と教えられた。
6時過ぎ、言われた場所にゆき、そこで見かけたおばさん連れに聞くと
「今日はない。行列は明日の7時ごろ。この先 100m のところを通る」との話。
ホテルに引き揚げる。 |
|