'06年・スペイン彷徨
10-1.<< 8/12(土)グラナダから西走、セビーリャへ >>(1)
今日の列車は11:40 発。

時間があるので、ホテルのレストランでの朝食後、

アルバイシン地区のサン、ニコラスを目指す。

ゆるい登り坂の比較的大きな通り(それでも車の行き違いは難しい)を少し歩いて、

途中のサン・ペドロ教会の脇から、左手の小路を登ろうと思い、

市の清掃係りの兄チャン(礼儀正しい)に聞くと、

「脇の小路には入らずに、このまま、この通りをまっすぐ行った方がよい、

そして突き当たりを、左へ登れ」と教えられる。

言われた通りに歩いて、左へ登り、しばらく行ってから

(ここまでの道は、循環の小型バスのコースになっている)、

また土地の人に聞いて、逆コの字型に、もういちど左へ、

こんどは小路に入ったので、見当を付けながら

くねくねと左右に折れながら、上ってゆくと、

San Nicolás を示す素朴な標識があり、まもなく、サン・ニコラスに着いた。
帰りは、同じ道を下るつもりが、

小路をひとつ間違えると、あらぬ方向へ曲がったり、

あるいは袋小路であったり、僅かな道のりなのに、なかなか骨が折れた。

この小路を、下から、近道のつもりで、上がってくるのは、

他所者には到底不可能。
ホテルに戻り、10時半にグラナダの駅へ向かう。歩いて25分だった。

こじんまりとして、閑散とした駅で、時刻表を見ると、列車は1時間か1時間半に1本。

文字どおりの終端の駅。
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10分遅れでセビーリャ・サンタ・フスタ駅行きのレヒオナールが入って来る。

たったの3両編成だが、車両内はとても快適だった。

二人掛けの席に、悠々とひとりで坐れた、ということもあり、

ゆっくり(テーブルも広い)食事をし、くつろいだ列車の旅を楽しめた。

道中は3時間だったが、長さを感じさせなかった。

トイレも、車椅子のひとも悠々入れるほど広く、しかもハイテクで、

ドアもカギも、手洗いも流しも、すべて電動で、ボタンひとつで作動する。
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途中、車窓から見た農地は、豊かそうに見えた。

初めてスペインの大地に降り立ったときは、土地は荒廃しているのかな?

という印象だったが、それは勘違いだった。

たしかに、完璧に乾燥しているので、下草、雑草はほとんどない。

が、その乾燥地に向いたオリーブやレモンの老木や若木が、

丘陵に、きちんと、そしてほとんど果てしなく、植えられていたり、

放牧地であったり、小麦を刈った後だったり、ということだった。

ほったらかしの荒れ地というのでは全然なかった。

マラガからグラナダへの高速バスもそうだったが、

この車内でも、スペインの民族音楽が、静かに流れていた。

のちに、トレドの駅の待合室で休んでいるときも、聞こえてきた。

音量を抑えているので、全然うるさくはない。

それどころか、どこかむせび泣くような声の出し方が、情感に訴えてくる。
(à suivre)
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