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00-1.旅行の手はず
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今を去る30年ほど前に、
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同僚のフランス語の教師である澁澤さんの授業を、2年間、受けさせてもらった。
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2年のあいだ、まじめに受講し、勉強もひととおりはしたつもりなのだが、
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いかんせん、学生の立場とは異なり、やはり厳しさに欠けるところがあったと思う。 |
従って、フランス語の知識に関していえば、実体は、落第生であった。
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そのままずっと、フランス語の勉学をなおざりにしてきた。
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まさに「少年(青年か)老い易く学成り難し」を地で行った次第。
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今回、フランスへ行くに際し、気を新たにして、 |
かつて取り組んで、挫折した語学に、ふたたび挑戦はしてみた。 |
しかし、挑戦してみたものの、依然として、文法、発音、綴り字に四苦八苦し、
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何だか、ぜんぜん進歩する気配がない。
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でもまあ、語学は、悲観をしたらアウト、百害あって一利なし。
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楽天主義でゆくのが一番。ダメでもともと。
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気分を転換して、旅行のおおよそのルートや日程を決めることにした。
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ルートは、最初、まずパリからストラスブールへ(350km)行き、
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そこから下って、リヨンへ(350km)、というふうなことを考えた。
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しかし、トーマス・クックのヨーロッパ時刻表を見たり、
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la SNCF(エスエヌセーエフ:la Société Nationale des Chemins de Fer Français |
フランス国有鉄道)のホームページ <http://www.sncf.com/index.html> で、 |
発着時間を調べてみたら、 |
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パリからストラスブールまでは4時間弱もかかる。
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それどころか、ストラスブールからリヨンヘ鉄道で移動するのは、もっと大ごとで、
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乗り換える必要もあって、それほどの距離でもないのに、5時間以上を要する。
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そういうことがわかり、ストラスブール行きは、断念した。 |
移動の際に列車に乗っている時間も、3時間を限度にして、 |
プリントアウトした発着時間の表を参考にし、
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けっきょく、単純に右回り、つまり、パリからリヨン、 |
次いでマルセイユ、モンペリエ、トゥルーズ、ボルドーと回って、パリへ戻る、ことにした。
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パリとリヨンの間は約400km あるが、TGVに乗れば、2時間で着く。
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ボルドーからパリは約500km で、TGVで3時間。
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しかし、フランスの南部を横に移動する場合は、マルセイユからモンペリエは150km で2時間、
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モンペリエからトゥルーズもほぼ同じ距離、同じ所要時間であった。
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こうして、コースと日程の計画は、だいたい立った。
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もう6月も末近くである。
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そろそろ宿の方の手配をしなければならないのだが、それに取り組む気力が、余り起きてこない。
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でも、もうタイムリミットだ。放っておくわけにはゆかない。
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意を決して、ガイドブックやインターネットを利用し、泊まる予定の町の宿探しを始めた。
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なるべくSNCFの駅か、あるいは町なかでも地下鉄の駅から近いところ、
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そして小規模なホテルを、少なくとも二つ星、できれば三つ星のところで、適当に選んでみた。 |
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小生は、早起き症ゆえ、毎朝、5時には起きる。じつは、午前3時にはもう目が覚めている。
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ある日、6月の30日だが、 |
起きるとすぐに、メールとファックスのための文章の作成に取りかかった。
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午前中いっぱい、従って、合計で5、6時間もかかって、 |
宿泊の申し込みの文章の雛形、それとコンファームの文面の雛形をも、非力な語学力ゆえ苦労して、仕上げた。
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そして、その日の昼ごろに、各々のホテル宛に、メールを1通、ファックスを6通、送ってみた。
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すると早速、この日の夕方から、翌7月1日の朝にかけて、ぞくぞくと返事が来た。
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返事が来ないホテルは1か所だけだった。
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そこは URL もあるところなので、インターネットで検索してみた、が、つながらない。
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少し怪しい。すぐにキャンセルにし(これにも応答はなかった)、他のホテルに当たってみた。
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すると、その新たに送ったところは、即座に、快諾の返事をよこした。
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というわけで、予約を申し込みを始めて、その二日後には、全部のホテルの予約が取れた。
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(à suivre) |
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