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0.旅宿の段取り
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去年のイギリス行きの際は、悠長に構えすぎて、7月も半ば近くになってから、
メールやファックスを送ったところ、
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もう部屋は塞がっていて、予約が取れない、というところが、何箇所かあった。
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それで、おおいに慌てて、夜中に何度か起きて、メールのチェックをし、
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空いているのがわかったところには、ただちに返信を送り、何とか辛うじて宿を確保した。
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しかも、焦って、あちこちに打診をし過ぎて、いくつかの予約をダブらせてしまった。 |
余分になったところへは、キャンセルのファックスやメールを送ったりと、あとの始末にも、
苦労をした。
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そのことに懲りたので、今年はホテルを早めに予約しようと、
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まずは、旅程を大まかに考えてみた。
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イタリアは日本のように細長い国なので、いつも移動は鉄道なのだが、
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どのようなコースにするかで、少々悩んだ。
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乗車時間があまり長いのも、身体にこたえる。
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なるべく、3時間以内に納まるように計った。
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トレンイターリア(イタリア国鉄)のホームページ
<http://www.trenitalia.com/tcom> を利用して、列車の運行を調べ、
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ローマからボローニャまで2時間、ミラーノからヴェネーツィアは、2時間半から3時間、
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というようなことがわかった。
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それで、算段としては、ローマから北西へ向かい、ついで、西から東へ移動し、
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次は、東から南へ、ナーポリまで下り、再びローマへ戻って、日本へ帰る、
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というコースを、思い描いた。
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ところが、早目に手配をしようという心積もりで、そもそもはいたのだけれども、
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突如、例の SARS の騒ぎが生じて、こちらの出鼻を挫かれた。
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アジアからの客ということで、ホテルで門前払いを食らったのではかなわない。
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騒ぎが、次第に収束するのかどうか、まだ見当がつかなかったが、
それでも、まずは割安の航空券を入手しておいて、様子を見ようと思い、
6月の初めに航空券の予約を申込んだ。
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これは、幸いすぐに入手できた。
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6月も半ばを過ぎ、SARS の騒ぎも一段落した気配になってきたので、
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個人旅行の本を利用し、インターネットでも検索し、
なるべく駅に近いところで、小さめのホテルを探した。
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だいたいの当たりを付けて、19日の午後、さっぱり確信は持てないけれども、
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これも練習、と思い、意を決して、予約の申し込みの簡単な文章を、イタリア語で打ち、
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Eメールを2通、フォームへの書き込みを一箇所、ファックスを3通、送ってみた。
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これまで、ドイツ語で Eメールを送るときは、文字化けを恐れて、
ウムラウトやエスツェットは使用せず、ae や ss で代用していた。
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こんどはアクセント記号を使う必要があるので、代用するわけにはいかないと思い、少し試してみた。
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その結果、(メールソフトの)Eudora を使い、テクスト形式で送ると、
Eudora で受信しても、Outlook Express で受信しても、文字化けを起こす、
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書式付きで送れば、Eudora で受信のときはだいじょうぶだが、
Outlook Express で受信すると、文字化けをする、
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Outlook Express を利用して送信すると、Eudora で受信しても、
Outlook Express で受信しても、文字化けしない、ということがわかった。
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Nisus Writer などで、ウムラウトやアクサン記号混じりで、打ったものを、
Outlook Express の文面にコピィしても、だいじょうぶだった。
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こちらの希望の宿泊料を、だいたいの見当を付けて、表示してある価格よりも若干低めに、
ところによって、110 から150 Euro (camera tripla) にしてみた。 |
もちろん、朝食付きで、バスないしシャワー付き (con colazione, con doccia o bagno) にした。 |
2003年6月現在、€1.00が \140 弱だから、110 Euro で15,400円、150 Euro で21,000円である。 |
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すると、翌朝、メールで3通、ファックスでも、1通、の返事があった
(ファックスで送ったところも、一箇所はメールで返事をよこした)。
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小生は、この日(20日)の昼前に遠出をし、22日に戻ってきたのだが、
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留守の間に、ファックスでの返信が、もう1通、届いていた。
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ページのヘッダに il 20/06/2003 16.59 とあったから、サマータイムで時差が7時間として、
こちらへは、20日の夜中にでも着いていたのだろう。
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この1通が、少し遅れて来た理由は、ホテル名を見てから、わかった。
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こちらが、メモを見ながら、Fax を送ったときに、番号を間違えて、
もうひとつの候補のホテルへ送ってしまっていた。
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この別なホテルからのファックスには、そんな間違いには触れもせずに、
こちらの条件で、部屋を提供するから、コンファームのために
カード番号を教えてもらいたい旨が、書いてあった。
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ほとんどのホテルが(一つを除いて)、コンファームのために、カード番号
(numero di credito) を求めてきた。
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宿泊料は、ほとんどこちらの希望通りであった。
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つい、もう少し低めの金額を提示すればよかったか、と欲が出た。後の祭りだが。
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当然のことながら、返事もイタリア語で来てしまった。
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何とか、辞書を引き引き、辛うじて判読し、苦労しながら、簡潔な(短い文しか書けない)
コンフェルマの返信を送った。
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あるホテルに送ったメールには、クレジットカードの番号が抜けていて、
purtoroppo non possiamo confirmare . . . (unfortunately we cannot confirm . . . )
という返信が来た。
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そのことを詫びようとして、メールに、mi scusi と書くべきところを、
つい、親しい間柄の表現を使い、 scuzami と書いてしまったり、
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あるいは、クレジット番号に関する詳細は「以下の通り:」と書くつもりで、
è il seguente (is the following): とすべきところを、
うっかり è il folgende: とドイツ語が混ざってしまったり、
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ドイツ語が混ざると言えば、numero が Nummero となってしまっていたり、
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送ってしまった後で、見直すと、もうあちらこちらに、間違いがあり、赤面の至りだが、
まあ六十の手習いだから、(勝手だが)大目に見てもらうことにする。
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一箇所だけ、ファームに書き込んで送信したつもり、のところからは、ぜんぜん音沙汰がない。
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3日ほど待ったが、やはり何の連絡もこないので、こちらの手違いで送れなかったもの
と解釈して、
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他の Eメールのアドレスを持っているホテルで、手ごろなところがあったので、
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夕方に予約の申し込みのメールを送った。
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夜中にトイレに起きた時に、メールの確認をしたら、もう返信が来ていた。
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さっそくクレジット番号を添えて、コンファームのためのメールを送ると、
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朝の5時には、受け取った旨の Eメールが来ていた。
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そういうわけで、ホテルのことは、わりと簡単に片が付いた。
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去年の四苦八苦したことに比べれば、大違いだ。
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ローマのホテルの案内のメールは懇切丁寧だった。 |
初めて、右も左もわからないイタリアの土を踏もうというときに、
こういう説明が付いていると、精神的に大いに助かる。
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「フューミチーノ空港から:
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到着のターミナルから、FS(国鉄)の駅を示す表示に従ってください。
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その FS の駅からTermini 中央駅まで 20分ごとに列車が出発します。
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切符は線路の近くにあるタバコ屋と新聞雑誌の売店で購入することができます。
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Termini 駅からの方向:
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何も交通手段を利用する必要はありません。5分歩くだけで十分です!
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駅の1番線の近くにある脇の出口からマルサーラ通りへ出て、その通りを左へ進み、
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最初の角(ヴィチェンツァ通り)で右に折れ、そしてそのまま歩き続けて、
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5つ目の交差点(ヴィラフランカ通りとの交差点)で、左に曲がってください。
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D.A.ホテルはそこから20メートル、あなた方の右手です。」
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