'07年・オーストリア縦断
16-1.<< 8/21(火)  空港で没収、成田へ
6時半起床、7時に朝食。きょうはよい天気の模様。

9時にチェックアウト。端数は、小銭を集めて出し、整理する。

U4 から S7 へと乗り継いだ。S730分おきだが、さいわい待つ間もなくホームに入ってくる。

St.Marx、「中央墓地」と過ぎ、9時50分には空港駅に到着する。

宿を出てから、たったの50分(これに比べて「成田」は遠い)。すいすいとターミナル1へ。

ほどなくオーストリア航空のカウンタが見つかり、試しに聞いてみた。

14.05発のフライトだから、まだだいぶ間があるが、チェックインができるのかどうか?」

少し調べてから「何人ですか? いま出来ます」

「それでは、すぐに、連れを伴って戻って来る」とことわって、

待たせていた場所へ戻り、二人を連れてきて、手続きを済ませる。

5、6年前にフランクフルトで、5時間前にチェックインが出来たことがあったが、

今回は、それ以来のこと。
そのあと、検査を通り抜け、ゲイト14 の前で、開門まで待つ。

持参のビールを飲みながら、昼食を早めに済ませてから、

きのうの残りの極上のワイン(ウチにしては)の入った小ボトルを、係員に見せて、

一応、聞いてみた。が、やはり、

「いえ、持ち込めない、入る前に、ここで飲んだ方がよい」

ということで、ワインも、ボトルにして1/4 程度だが、ちびちびと飲み干した。

おかげで、すっかりいい気分になり、神経も鈍麻して、待っているのがぜんぜん苦にならない。
〜〜〜〜
そろそろ1230分。ゲイトに入る時間になる。

身体検査と手荷物検査。身体の方はめずらしくOKだったが、

手荷物検査で、手提げ袋に入ったワイン3本を通したら、そのうちの1本が引っ掛かる。

大した分別だ。免税店で買った2本は問題なかったが、

残りの「この一本はどこで買ったのか?」

「ウィーンのビラというスーパーだ」

「それは持ち込み禁止だ」と没収される。釈然としない話だ。

「そういうことは始めて聞いた、まだ封を切っていない、オーストリアの上等なワインだ」

「それでも、規則だからダメです」

「そうか、やむを得ない、それではあなたにプレゼントするから、家で飲んでくれ!」

「そうもいきません」

「残念だが、仕方がない、ひとつ学んだ」

「手荷物としては禁止されているのです」

係員たちの愛想はとてもよく、態度は紳士的だった。

上等なワインを廃棄(おそらく)とは、もったいないことだが、しょうがない諦めよう。

待合室の席に坐り、わが娘に聞いたら、これは、今年からの「決まり」だそうだ。

だんだん検査が厳しくなってきた、ということか。

そういえば、免税店でワインを2本買ったとき、レジの店員は、

それらを透明な包みで、きちんと包んで、テープで留め、レシートを貼り付け、

それからビニールの手提げ袋に入れて、こちらに手渡してよこした。

それで、どこで購入したものかの区別がつくのか。
〜〜〜〜
14.05発の20分前ぐらいに、やっとアナウンスがあり、搭乗手続きが始まる。

これでは離陸は遅れるな、と思ったが、時間通りに飛び立った。

機内への入り口脇に新聞が置いてある。(ウィーンの新聞)"Standard" を一部もらい、

座席で開くと、「那覇」での事故が一面トップで出ている。

「奇跡的に全員が救助された、パイロットはザイルでコックビットから逃れ出た、云々」

機内サーヴィスのステュワーデスが、ビールが欲しいひとに、黄色の缶を渡している。

「緑の缶を」と言ったら、ワゴンのケースの奥から出してきた。

「このビール(Gösser)がおいしい」

「シュティーリッシェス・ビーア です、私はシュティーアの出身です」

(綴りは stierisch ではなく、steirisch のようだ。シュティーアも Steyr かと思う。

地名の綴りや発音は難物。)

「ロートヴァインももらえるか? それもオーストリア産か?」

2005年もので、よいワインです」

ステュワードが食事を持って来た。

「(ふたつの種類のうち)どちらにしますか」

「リコッタ・シュピナート・ラヴィオーリをください、我々3人に」

「あー、ありません」と奥に取りに行って、こちらに手渡しながら「グーテン・アペティート」

機内で十二分に飲み食いしたら、一本没収された残念な気持ちも消え失せた。

オ航空の機内食のメニューがおもしろい。行きの便のメニューの表紙には

「ズズーッとすすって飲め!」、帰りのには「ピチャピチャと音を立てて食べろ!」

名のあるイラスト画家の作品のようだ。内側にイラストの全体が載せてある。

タイトルは「カキをすすっているひと」と「スパゲッティを食べているひと」


ステュワーデスのオネエチャンが、朝食(サラミとチーズとパン)が配りながら、

「イングリッシュティー?」と回ってきて、

「イングリッシュティー? それともビールですか」

「十分に飲んだ、ティーをください」

Zwei Illustrationen oben:
aus dem "Austern-Schlürfer" und dem "Spaghetti-Esser"
von Erich Sokol

Der Stadtplan oben: aus "Wien", Hallwag AG, 1988

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日本に帰ってから、ふと「ベデカ」のウィーンの市街図を開いてみて、見つけた。

「ノルトバーンホーフ(北駅)」に隣接して(北西に)貨物駅があり、

その名前が Frachten Bahnhof Wien-Nordwest「貨物駅ヴィーン・ノルトヴェスト(北西)」

だった。

もしや、「かの絵画」の旅客駅は、かつて、この場所にあったのではなかろうか?

確証はないけれども。
(了)
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