'07年・オーストリア縦断
09-1.<< 8/14(火) ケーブルカーを乗り継いで >>
宿泊の予約をしたときに、返事のメールに、

「ボリュームたっぷりの朝食を提供する」とあったが、その言葉にいつわりはなかった。

まさにそのことばどおり、豊富な種類の食べ物が並んでいた。

「シャワーだけ」でも、容認しなければならないか。

ハム類、チーズ類、ソーセージ類を、存分に食べる。

ふだん、日本にいるとき、朝は、ほんの少しの量しか、ものを食べないが、

言い訳をすれば、それは午前中、ほとんど身体を動かさない、という理由から。

しかし、旅行のあいだは、状況がまるで違う。午前中いっぱい、3時間以上、歩き回る。

ゆえ、じゅうぶんに栄養を補給しておかなければならない。

胃腸の余り丈夫でない小生が、朝から、こういった肉類を山ほど食べても、

不思議と腹をこわさない。
〜〜〜〜
以前は、旅行前に、かなり綿密な計画を立て、

旅行中は、そのスケジュールに従い、行動をしたものだが、

だんだんに、予定が、いい加減にというか、雑に、なってきた。

今日の予定も、ゼーフェルトへ行くつもりだったが、

あまり見るべきものがなさそうなので、止めにした。

インスブルックを適当にぶらつくか、と連れどもに言ったら、

家内は、「ケーブルカーに乗ろう」と言う。
「そんなものは面白くもなんともない」気がしたが、

他に妙案はなし、その線でゆくこととする。

それで、急遽、フロントで、

インスブルック・カード(24時間有効のもの)を購入した。
そして「Seegrube(展望台) へ行こうと思うのだが、まずは市電に乗るのか?」

日本のガイドブックには、そんな風なコメント(トラムの1番で、云々)が付いている。
「いいえ」と地図に書き込みをしながら、

3本のケーブルのうち、

市電から乗り継ぐと思われる「1本目の線」に

「バツ」を入れ(今は廃止?)

Landesmuseum(州立博物館)の右の角の

果物屋の前で、

ノルトパルク(Nordpark)行きのバスに乗りなさい、

そのバスは(2本目の)ケーブルカーの乗り場まで行く」

とのこと。

         〜〜〜〜

果物屋の前で、おばあさんに聞くと、

「あと3分でそのバスが来る、とあそこに出てますよ」

見やると、行き先別に、バスの到着時間が

電光掲示で表示してあった。

ケーブルカーは大型だった。
Der Stadtplan oben: aus "Innsbruck",
Herausgeber: Innsbruck Tourismus

雨が降って来た。

展望台のところから、次のケーブルに乗り継いで、Hafelekarspitze (2334m) の肩のところまで上がる。

雨がぱらついているが、そこから、連れは傘を差し、こちらはカッパ代わりのヤッケを被って、

15分ほど歩いて、頂上に立つ。眺めは抜群。

余り気が進まずに、いわば「付き合いで」上がって来たのだが、

これほどの眺めとは思わなかった、来たのは正解だった。

山頂から正面左に、町の東側にあるズィル川とイン川の合流地点が見える。

右手遠くに(飛行場だろう)滑走路のようなものが見える。

ふたたびケーブルで、いちばん下まで降り、バス停で待つ。

ほどなく、バスは来たのだが、

「終点だから、乗客がぜんぶ降りてから」乗ろうとしていたら、パッとドアが閉まり、

バスは、2、3人の客を乗せたまま、走り出す。

「ここは終点ゆえ戻って来るだろう」と思ったのだが、さにあらず、

ぐるっと向うの道へ回ると、坂を下って行ってしまった。

「ドアの脇の大きなボタン」を押さなかったのが、まずかった。

15分待って、次のバスに乗り、イン橋(Inn Brücke) の手前で降りて、公園で休む。
そのあと、町なかに突っ立っているシュタットトゥルム(市の塔)に登った。

もとは「火の見やぐら」とかで、眺めはよい。うごめく人の群れが、真下に見える。

ついで Volkskunstmuseum(民俗博物館)を見学したら、もう疲れてきた。

天気は、すっかり晴れ上がった。

今朝、フロントで確かめておいたが、やはり「8月15日は休日で、店はどこも閉まる」ゆえ、

きょうは、あれこれの品の買い溜め。ワインを2本、ビールを1ダース、その他もろもろ。

店のオネーチャンの応対は、ぞんざいでせわしい。

こちらも落ち着きを失い、合計 €32.92 の支払いにもたくたする。

小銭を処分するため、数えようとしたのだが、92セントでは、

種類と枚数が多すぎて、しょせん無理だった。

宿に帰って、食料を取り出すと、せっかく楽しみに買ってきた「腸詰め」が袋に入っていない。

レジのネーチャンが「ベルトコンベア」の上に載った品物を、

右から左へ、ぞんざいに飛ばしていたから、どこかへ落ちてしまったか、

あるいは、こちらがカートから取り忘れたか。

どちらにしても、せっかく楽しみにしていたブルストだが、無いなら、残念だが、仕方がない。

戻って交渉する気もしない。慌てていたのか、レシートを貰うのも忘れた。
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フロントの女性ふたりが、ときどき交代する。

顔とスタイルが似ているので、姉妹かもしれない、と初めは思った。

あとで、エレベータ内に経営者家族の写真が飾ってあるのに気がついた。

そこ写っているのは「親夫婦と娘がひとり」ゆえ、二人は、ただ単に似ているだけか。

ちょうど交代したばかりで、帰ってゆく方の娘さんが(我々の)背後から

「シェーネ・ナッハミッターク!(楽しい午後を!)」と声をかけ、階段を駆け降りて行った。

けさの食堂はふだんの日曜日よりも、もっと静かだった。

休日には、泊まり客もゆっくり休んでいるのだろう。通りの音も皆無。みんな静まっている。

外は雨。インスブルックは、天気が変りやすい。気温も、オーストリアの他の都市と比べて、

低い。
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