'06年・スペイン彷徨
13-1.<< 8/15(火)セゴビアの水道橋 >>
7時15分に宿を出る。外はまだ暗い。日の出は7時29分。

近間のメトロの入口は閉じていた(工事中?)ので、道向うの入口まで歩く。

きのう出た所だ。

道ばたのあちこちに、たむろしている連中がいるが、さほど危険な風ではない。

アトーチャ駅で、改札係に発車番線を確認する。

2番線とのことなので、ホームで待つ。
近郊線の電車(corto と表示されるので、短距離の通勤電車、

と思うが)を何本かやり過ごす。

やっとセゴビア行きの Regional の表示が出る。
レヒョナールにも種類があるようで、このセゴビア行きのは、完全に各駅停車の鈍行だった。

これでは指定席もくそもない。

外の気温は、これまでとは打って変わって、18℃。

車内は寒く、座席も固くて、高さが高い。

短足の我々には、足がじゅうぶんに床に着かない。これで2時間。

坐りごこちが悪い上に、寒い、のだから、居眠りもできない。
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やっとこさセゴビアの駅に着く。

スペインでは、これまで概してそうだったが、町は駅から遠い。

それで、手元の地図には、駅の近辺は載っていないことが多い。

セゴビアの場合もそうなので、適当に町の方向の見当をつけて、歩き出し、

途中、例のごとく、何べんも通行人に Acueducto (水道橋)の方向を聞きながら歩く。

「かなり距離があるから、バスかタクシーで行く方がよい、」という風なことを言ってくれる。

ここでも、みんな徹頭徹尾スペイン語、だが親切だ。

歩いているうち、パンをぶらさげてくるひとが、何人も、目についた。

それゆえ、近くに、おいしいパン屋があるはずと、注意しつつ歩いた。

すぐにわかった。5、6人のひとが順番待ちをして、並んでいる。

こちらも後ろにつき、パイを二つ買い求める。

このパン屋のオバサンだけが、フランス語を理解してくれた。
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2、30分も歩くと、右手遠くに、水道橋がかいま見える。

城壁の町の、その外側を、北西に伸びているロス・オヨス通り(Cuesta de los Hoyos) を

(右廻りに)まわることにする。

下から(そして、少し遠くから)カテドラル、そしてアルカサルを眺めながら歩く。

この通りは、クエスタ(slope)とあるとおり、静かな坂の道で、歩いていて気持ちがよい。

地元のひとも、散歩やジョキングをしている。

アルカサルの北までゆき、そこから城内へと向かっている道に入る。

少しゆくと、右手の急斜面に、山道らしきものが、上へ向かっているように見える。

遠くから、オジイサンがゆっくり歩いてくる。

そばに来るまで、しばし待って、声をかけた。

「この山道は、アルカサルまで続いていますか。」

「行ける、カテドラルへも行ける、」と言う。

それで、そのつづら折りの急坂の道を登り、上に出る。

途端に、大勢の観光客の一団に出くわした。

アクエドゥクトの方へと向かう。

これは見事なものだ。高々と聳え立っている。

接合はせず、ただ「石の、積み重ね、組み合わせ」だけで

バランスを保っているというから、すごいものだ。
水道橋の先の端、源まで歩いてみる。ガイドブックには、全長728メートルとある。

先端は腰の高さほど。溝の中を覗いてみた。

「水道管を通し、間接的にだが、まだ利用されている云々」とも書いてあったが、

それらしきものはなく、空っぽだった。 →
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さて、ここから駅へ行く道は、皆目わからない。

地図には、この先端の場所も、駅も、載っていない。

セゴビアの鉄道駅を知っていますか、の一点ばりで、

オジサン、オバサン、ジイサン、バアサンに聞きながら、

(幸い、曲がる所は余りなかった)、やっと駅近くに辿り着いた。

セゴビアとマドリッド間の運行本数は2時間に1本。次の電車は2時50分発。

今は、まだ1時20分。発車まで、まだ1時間以上もある。

朝に立ち寄ったパン屋まで歩いて戻り、粗びき麦の(短かめの)フランスパンを買う。

再び駅へ向かって歩いている、その途中、どこかのオジサンが、

そばに寄ってきて、笑顔で、何やかやスペイン語で話しかけてくる。

このひとは何だろう、と怪訝な思いだったが、

連れに教えられた。今朝、行きがけに、水道橋への道を、この辺で何人かに聞いたが、

そのうちの、お一人、ということだった。

城内の町の中は、ひとでごった返していたのに、

セゴビアの鉄道駅は、閑古鳥。

電車の乗客は、全部で14、5人。

たいていの観光客は、バスで来てバスで帰る、ということなのだろう。

やっと、気温が29度から30度ぐらいに、上がってきた。

帰りの車内は、ちょうどよい室温で、ウトウトしながら帰る。
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今日の飲み物と食い物を買おうと、宿のすぐ脇の、デパートへ行くも、

シャッターが下りている。

「平日なのに、おかしい」と思って、はたと気がついた。

きょうはカンズート(8月15日、聖母マリーア被昇天の祝日)だった。

さいわい、食糧の買溜めが、多少あるので、何とか凌げる。
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