'06年・スペイン彷徨
08-1.<< 8/10(木)バスに揺さぶられ、グラナダへ >>
宿の支払いを済ませ、8時15分に出る。

20分弱で、バスターミナルに着く。

きのう教えられた24番ホームから、バスは、予定通り、9時に出発する。

しばし町中を走ってから、高速道に入った。

山あいの道で、高速道にしてはけっこう急なカーブが続く。

バスは、そこを時速130キロぐらいを保ったまま走るので、身体が左右に揺られる。

どんどん追い越しもする。

途中どこかの町の郊外にいちど停車しただけで、10時10分前にはグラナダに到着した。

ここまでは何事もなく、順調だった。
〜〜〜〜
到着してすぐ、隣の席の大柄なオジサンに

「鉄道の駅へ行くには、ここでバスを乗り換えるのでしょう?」

「いや、このまま乗っていればよい」、という風な答えだった。

念のため、運転手にも聞く。

と、ややつっけんどんな応対で、「乗り換えは必要だ。ここで降りてくれ。

後ろに客がつかえている。よけてくれ、邪魔をしている。」

降りてから、「(バスの下部の)トランクの荷物を出したい。」

運転手は無言で、ただうなずいた。

自分で勝手にトランクを開けて、降ろせ、ということらしい。
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ターミナルのホームにいた若い係員に、グラナダの鉄道駅行きのバスのことを聞く。

指差して、「そこを上がって、3番。」

言われた通りに上がってみた。

なんとなく3番のホームでもあるのかなと思ったが、

上はただ待ち合いホールになっているだけで、バスがどこから出るのかわからない。

インフォメーションがあったので、そこでまた聞いてみた。

すると、ターミナルの外が大通りで、

そこのバス停で、「3番のバスに乗る」ということであった。
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バス停まで行き、そこに居合わせた婦人に確かめる。

3番のバスが来た、が満杯だ、後ろに33番のバスも来た。

家内が、33番でもいいはずだ、というので、それに乗ろうとして聞いたら、

「駅行きは前のバスだ」と断られた。

改めて、前の満員のバスに、

鉄道駅へ行くのかどうかを運ちゃんに確かめてから、どうにか乗り込む。

デッキのところに立ったままになった。

次のバス停に止まると、そこに、10人ほどの客が待っている。

こちらが、運転手との仕切りの素通しアクリルに、寄り掛かったままでいたら、

運ちゃんにそこをドンドンと叩かれ、「中へ移動してくれ」とどやされた。

バスが動きだし、しばし走って、次の停留所になった。

すると、目の前の席に座っていた中年の男が

(さきほどデッキのところでいっしょに立っていた人だと、あとで連れに教えられた)

「ここで降りろ」、と言う。

「ここが駅か?」

「そうだ、ここだ。」
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降りてはみたものの、ぜんぜん駅の気配がない。

早まって降りてしまったか、と思った。

そこのバス停に立っていた若いカップルに聞くと、

駅は、この道をまっすぐ、歩いて5分、と言う。

言われた通り歩く、と、駅が見えてきた。

さっき降りたバス停からここまでの道は、工事をしていて、バスは入ってこれそうにない。
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こんどは宿にゆく道を尋ねなければならない。

手元の地図で見ると、駅の、向かって左へ行けばよいはずなのので、

それを確かめようと思って、聞くと、

「駅の左は工事中なので通れない」、

我々の後ろを指さして、
「この道を戻って次の交差点を右に曲がり、

次の交差点をまた右に曲がれ」、

という風なことを言う。

念のために、もうひとりの人にも聞いたが、同じような指示だった。

それで言われた通りに歩いた。
地図に載っている、広い公園と思しきものが、見えてきた。

その公園の右側を、左カーブに、巻くように歩いていると、向うから男が歩いてくる。

風采は余りよくはない、が、構わず、

公園の名前と通り名を言って、間違いないかどうか尋ねた。

すると、ぜんぜん違う通りの名前を言う、

しかも、こちらが言った公園も、「ずっと向うだ」、と我々の後ろの方向を指す。

少し怪し気だ、が、いちおう礼を言って別れ、

次に見えた、「まちがいなく地元の人」に聞いた。

我々の辿って来たコースは、正しかった。

さきほどの男は、土地無案内なのか、あるいはもしや、作為的だったのか。

それは、わからないが。
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さらに行くと、大きな(変形の)五叉路に出た。

そのうちの3本が、ホテルの方角へ通じている(はずである)。

なるべく近道をしてゆきたいと思い、前から来た中老年の婦人に話しかける。

遠くから、あるいは後ろからでも、声を掛けるときには、便利がいいので、

だいたい、「パルドン、ムッシュー、とか、マダーム」と呼び掛けることにしている。

すると、今回は、珍しく、フランス語で返事が来た。

近道と見えた真ん中の道は「通れない」(通り抜けられない、ということだろう)、

「左の道はどうか?」と言うと、
「いや、こちらの右の道がよい、付いて来なさい」と、

かなりの距離(5分ほど)を先導する。

オバサンにとっては、わざわざ戻ることになるので、こちらは恐縮し、

邪魔をしたことを詫びると、ニコニコとして、

「いえぜんぜん何ともない、私は何とかかんとか、だから」と言う。

ある交差点で、左の通りを示し、

「ここをずっと、広場の脇を通って行き、次の次で、左に曲がりなさい。」

よくお礼を言って、握手をして別れた。

オバサンは、また元の道を戻って行った。これはありがたかった。

少し大回りの道だが、目指すホテルに辿り着くには、とても分かりやすいコースだった。
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ホテルで昼食を取ってから、外に出て、小路を通り抜けて、

先ほどの、婦人に出会った五叉路までの近道を、確かめてみる。

割と近かった。

カテドラルを見てから、

チェーン店 El Corte Inglés の地下のスーペルメルカードで食品を購入する。

ビーノ(ワイン)は今までのものの倍、14ユーロほどのものにした。

こんどはほんとうにうまい。
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