'05年・スイスの南北と西の端
10-1.<< 8/13(土) ベルンから、チューリヒへ戻る >>
ここのホテルの朝食は別会計で、フロントで聞くと、

コンティネンタル(9フラン)かビュッフェ(18フラン)かを、

その場で、自分で選べばよい、とのことだった。

朝6時半に、ホテルの食堂へ行った。

ごつくて無愛想なオバサンが仕切っていた。

オバサンに選び方を聞いたら、

四角いテーブル様の棚の、外側の棚のものが continental で、

一段低い内側の棚のものが buffet ということだった。

連れ二人にも、そのことを伝えた。

しかし、連中はあまりひとの話を聞いていない。

テーブルに付いて、連合いどもの皿を見たら、平気で、buffet のものをも持ってきている。

それは違うんだ、と言ったのだが、あまりわかっていない風だ。



揚げ句、これはこの後、チューリヒに行ってからの話だが、

昼どきになって、工科大学のテラスのベンチで、いつものように家内が食事の品を揃えるとき、

驚いたことに、buffet の棚に置いてあった「チーズ・ア ラ カルト」を取り出すではないか。

知らないということは、恐ろしい。

しかしまあ、このチーズは、正直、おいしかった。

とりわけ、「くさや」のような匂いのするものが、秀逸だった。
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ベルン発8:03のインタシティでチューリヒまで57分、ノンストップ。

スイスはコインロッカーが使える。

チューリヒHB で、3人分の荷物を一ケ所に入れて、5フラン。
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湖畔の広場まで、朝市を目当てにやって来たのだが、

今日はどういうわけか、やっていない。一件の店もない。

あちらこちらに、変なやぐらが組まれたりしていて、

この前(8月4日)とは、様子がまるで違う。

その理由はあとでわかった。
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丘の上にある、チューリヒ工科大学のトーマスマン・アルヒーフを、確認しに行った。

この時間では、中に入れてもらえないのは承知の上。

そこで、見かけた中年すぎの婦人と、しばしお喋りをした。

そのときに、「今日の3時すぎから、チューリヒの町なかは大騒ぎになる。

とても大きなフェスティヴァルがあり、通りは、身動きできないほどの人込みになる。

3時には空港へ向かうというのなら、それは賢明だ、」と聞かされた。

丘を下り、町へ戻ると、たしかに、まだ2時まえだが、えらく人が出ている。

中心部の繁華街、バーンホーフ・シュトラーセには、

いつのまにか、市電が見かけなくなってしまっていた。車も閉め出されているようだ。

通りのベンチに腰掛けていた、肥りじしの中年すぎの夫婦に、

どういう種類の祭りかを、聞いた。

「テクノ・フェスティヴァル」ということだった。

「それでは若い人たちのためのフェスティヴァルですね。」と言うと、

少し当惑したような顔をした。

慌てて、「あなた方お二人のように」と付け加えると、笑顔になった。
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空港で、チェックイン後、パスコントロルを経て、

連絡電車(シャトル)で、ターミナルB へ行き、

そこで手荷物検査を受けると、例によって、ブザーが鳴り、

カーテンの陰で、身体検査をされてから、やっと放免された。

搭乗口のあるゲートE まで来た。

いつも、搭乗口手前の待合室で待っている合間に、まず免税店での買い物を済ませ、

それから、残った現地の通貨を日本円に替えている。

最寄りの空港案内で、両替所の場所を聞いた。

すると驚いたことに、

「このゾーンは新しくて、両替所はまだ置いていない。ここでは、両替えは不可能だ」

と言うではないか。

「それは困る、両替がぜんぜんできないのはおかしい」と言うと、

「もう一度、手荷物検査所を出て、transfer-train でターミナルA に戻れば、

両替えすることができる」という返事である。

それはまた面倒な話だが、やむをえない。

手荷物検査の係官に事情を話して、通してもらい。シャトルに乗り、ターミナルAに戻る。

が、戻ってはみたものの、だだっ広くて、どの方向に進むべきか、見当がつかない。

そこに、空港職員とおぼしき大柄な男性が、何かの機材をカートで運んでくるのが見えた。

自動のではなく、人の詰めている両替所のことを尋ねると、

いささか込み入った道順を説明する。

そこまで辿り着くのは難しそうだ、と言うと、

「それでは私が案内しましょう」と、カートをそこに置きっぱなしにして、

あるドアを抜け、エレベータで上がり、2度ぐらい曲がって、目当ての場所に着いた。

しかしそこは、両替所ではあったが、なかに人の気配がない。

今日は土曜日のせいか、どうも閉まっているようだ。

この親切な男性は、まわりを見回して、同僚を見つけると、

きょう開いている両替所はどこか、を尋ねてくれた。

幸い、開いている所があったようで、ふたたび、そこまで、じかに連れて行ってくれた。

このひとには、じつに親切にしてもらった。繰り返しお礼を言って別れた。
(了)
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