'04年・フランス漫歩の巻
15.ボルドーからパリ・モンパルナス
朝の7時、プティ・デジュネーのために下に降りて行くと、

フロントの男が、

「食堂に団体の客が入っている。

申し訳ないが、他の場所で食事をしていただきたい。

ご自分の部屋でも結構です。」

自分の部屋へ戻って、食事が上がってくるまで、悠長に待ってなぞいられない。

「こちらで食事をしたい。私は8時に出発するつもりです。」

男は、

「それでは、そこで待っていてください。」

と言って、フロントの脇にテーブルと椅子をセットして、

まずまずすみやかに、食事の用意をしてくれた。

娘が、

「団体はイタリア人みたい。

(近くの)ソファーにいる二人が、コメスターイなどと言っているよ。」
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モンパルナス行のTGVは、ボルドー始発だった。

車内はわりと空いている。そして静かだった。

パリまで4〜500キロで、3時間の行程だが、楽な旅だった。
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モンパルナス駅に着き、

まずはカルトランジュ(定期券)をどこで購入できるのか、案内で聞こうと思ったが、

たくさんのひとが並んでいる。

ちょうど警備のひとが通りかかったので、聞いてみた。

「向うのエスカレータを3回降りろ。」

言われた通りに下ってゆくと、メートロの入口の、その手前に窓口があった。

見るからにベテラン風な、太りじしのオバサンだった。

「一週間用のカルトランジュ、ゾーン4まで。」

「日曜までだが、それでよいか。」

「それでよい。」

やはり念を押しておこうと、

「あすは、ヴェルサイユへゆくつもり、あさってはCDG空港までゆく。」

すると、

CDG空港はゾーン5。」

SNCFのレイルパスを持っているのだが、それを使うことはできないか?」

「使えない!」

これはおかしい、と思ったが、こう断言されれば、仕方がない。
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(あとでSNCFのパンフレットを見たら、

France Railpass is only valid on the RER B line
(between Charles de Gaulle and Paris-Nord)
and on the whole of the RER C line.

「フランス・レイルパスは、
RER B線のシャルル・ド・ゴールとパリ・ノールの間、
および、RER C線の全線でのみ、通用する。」

とあった。

ただ、いちいち窓口で通行券をもらってから、乗り換えることになるので、

荷物があるときはわずらわしい。)
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「それでは、ゾーン5までの券を!」

ひとり30ユーロと少し、さほど高くはない。

これでメートロの全部、そしてRERもかなりの範囲まで、

自由に乗り降りできるのだから、とても楽だ。
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さっそく6号線に乗る。

予定のホテルへ行くため、ラスパイユ駅で降りたのだが、

「6号線は Raspail 駅の先は工事中で、6月末から8月末まで運行停止

」という意の表示が出てる。

多少は不便だが、この駅には4号線も入っているから、さほど支障はない。

地上に出ると、目の前に、ホテルが見えた。

バス付きの二人用の部屋を、ふたつ当てがってくれた。

落ち着いた作りの部屋で、なかなか感じがよい。
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外出し、パリ第5大学の脇を通り、ルクサンブール公園の中を抜け、

ソルボンヌの南端を掠めて、パンテオンへと歩く。

サンテティエンヌからカルティエ・ラタン、さらに、第6、7大学の脇を通り、

サンルイ島へ。

島の手前の橋からノートルダムが見える。

雨が降ってきた。

6号線は使えないの、少し遠回りをし、7号線に乗り、

シャトレで乗り換えて、4号線で帰る。

宿で、ひと風呂浴びたころ、外はドシャ降りの雨。

早めに引き揚げて、幸いだった。
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