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13.トゥルーズからボルドーへ
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朝8時半、宿を出て、
そのままゆくと駅の左側に出る通りを、まっすぐに進み、
駅の方へと右折するその手前のところまで来ると、
路上に停めてある(街中ではこれが普通だが)ある車のボンネットに、
毛布を、雑に丸めて、載っけてあるのが、チラッと目に入った。
そのまま何気なく通り過ぎようとして、何となくもういちど見た。
人間だった。
ふさふさの毛皮で身を包んだおコモさんが、
ボンネットの上で、身体を丸めて眠っていた。
この女のひとは、きのう、カルカッソンヌからの帰りに、
この近く、もう少し駅寄りのところで見かけていた。
この暑いさ中、この同じ毛皮のコートを着て、トボトボと歩いていた。
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9時24分発のTGV。
通路を挟んで我々の向いのボックスが空いていた。
そこに、発車の5分前、
2、3歳の男の子を連れたやや若い夫婦が、そそくさと、やってきて、席を占めた。
発車してしばしの後、車掌が検札に回ってくると、
1等がどうのこうの、と言って座席券(2等)を購入していた。
TGVは全車指定なので、座席指定券なしでは乗車できないはずなのだが、
1等の席を予約して乗り、空いていたので、2等に代えてもらったのか?
あいにく、車掌が、追加の額を要求したのか、
あるいは、余分な金を返したのか、見ていなかった。
まあ、他人の穿鑿をしても始まらない。
それはともかく、この父親がたいへんなおしゃべりで、
ボルドーの駅に着くまで、延々と、
主に、これからの自分たちの住居の話を、
間取りがどうの、寝室の数、浴室がどうの、居間がどうの、
ガレージをどうするか、テラスはどうだ? と、
奥さんを相手に、説明を続けていた。
奥さんの方は、静かな声で、少し相づちを打つぐらいである。
これまで乗った列車の内は、ほとんど静寂そのものであったが、
ときに今日みたいに、居眠りをさせてもらえないこともある。
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ボルドーの駅舎は、ワイン貿易で栄えた町らしく、
南北にかなり長い、堂々たる建物である。
今日のホテルは、この駅舎の北端の斜向かい、角地に建っていた。
4階の304号室。部屋から駅が見える。
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ほぼ西に向かって伸びている駅前通りをゆくと、左に工業高校 (Lycée Tech.)。
ヴィクトワール広場からは北へ向かう。この辺りから商店街になる。
少しゆくと、フランスに来て初めて、大規模なスーペルマルシェに出くわした。
乾燥ソシソンもたくさん種類があった。
ワインも産地別に、ピンからキリまで、
売場のふたコーナーを占めて、種類が山ほど並べてあった。
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夜半に雷鳴があり、屋根を叩く雨の音。
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