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09.アヴィニョンを経てモンペリエ
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メトロのカードは6回目で、機械に呑み込まれ、一瞬、戸惑った、
が、バーは開いた。
駅のアッケイユ(案内)で、アヴィニョン方面の「小冊子の時刻表」をもらう。
これは方向別に、必要な列車だけ載せてあるので、とくに短距離の移動のときには、とても便利だ。
例えば、
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トーマス・クックのヨーロッパ時刻表は、
ローカル列車の運行を調べるのときには、
少し見にくい上に、
全列車の運行時刻を
載せているわけではないので、
あまり適さない。
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左の冊子は
トゥルーズから
カルカッソンヌ行き用。
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発車まで、まだ4、50分あった。
SNCFの窓口を覗いてみた。
ひとはほとんど並んでいない。
ほとんど待つこともなく、番になった。
当たった窓口の職員は、若い娘さんだった。
「TGVの予約をしたい。レイルパスを持っている。」
すると、隣の窓口の男性の同僚に、パス利用の場合のキィの打ち方を尋ねている。
「曜日、日にちはこれこれ、トゥルーズからボルドーまで、出発の時間は . . . 」
「ちょっと待ってください。」
それで、少し間を置いて、発車時間と人数、2等で禁煙車、といったことを告げる。
わりとゆっくりと打ち込んでいる。まだ新米のようだ。
こちらにすれば、ベテランのオバサンに早口でまくしたてられ、しばしば往生したゆえ、
こういう間をおいた応対は、却ってありがたい。
予約料金が 4.5 € と要求されたので、ひとり4.5では高すぎると思い、
「3ユーロなはずだが」と言うと、3人分で 4.5 € ということだった。
トゥルーズ、ボルドー間のように、距離が短かめのところは、予約料金が半額らしい。
さらに、ボルドー・サン・ジョンからパリ・モンパルナスまでの分も予約した。
両方とも希望通りのTGVの予約ができた。4、5日ぐらい早めに、予約をするとよさそうだ。
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アヴィニョン経由リヨン行きの列車(テール、ter)は番線Dの表示が出た。
最初は比較的空いていたが、途中の駅から乗り込む乗客がけっこういて、ほぼ満席になる。
アヴィニョン・ソントルで途中下車し、まず荷物を預けにゆく。
係り官がいて、荷物は探知機を潜らされるが、
あとはコンシニュ(コインロッカー)に自分で入れる。
法王庁を右に見て、パレ広場に出る。
突き当たりまで行ってしまうと、道がなさそうに見えた、
が、乳母車を押した若夫婦が、左へ降りてゆく気配なので、
こちらも真似をして、後に付く。
すると、細い階段の道が見える。
それを下ってから、右へ、さらに左へと折れながら道なりに進むと、
アヴィニョンの橋の下、西側の、河川敷のようなところに出た。
橋の下をくぐり、少しゆくと、左は川だが、右手は城壁がそそり立っていた。
その下部に小さな入口がある。
入ると、螺旋状の階段があり、登り切ると、ロシェ・デ・ドン公園に出た。
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「アヴィニョンからモンペリエへ」も ter に乗る。
冷房も効いていて、なかなか快適である。
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ter の意味は、小冊子を見て初めて、
Transport Express Resgional の略語だということがわかった。
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駅のホームのベンチで隣り合わせたひとなどに、
これまで2度、聞いたが、知らない風だった。
知らないのに、長々と、余計な説明をする老人もいた。
テールの他に、コライユ(corail)という列車もある。
これはモンペリエへ行ってからのことだが、駅員に、この二つの違いを聞いてみた。
「corail は grand train で、長距離の列車だ、
ter は petit train で短距離の区間を走る、どちらも追加料金はない、」
という説明だった。
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モンペリエ駅から歩いてすぐのところのホテルに入る。
以前は、駅から多少遠くても構わずに、
昔からの個人経営の宿にこだわって、予約をしていた。
が、そういうところはだいたい、駅から離れた旧市内の、小路を入ったところにある。
年輩になってくると、荷物を担いで、あるいは引っ張って、
ひとに何度も道を聞きながら、そこまで辿り着くのは、大儀になってきた。
その点、駅から近いところは楽だ。
もちろんチェーンホテルでは、味気ないので、
それは避けて、なるべく小規模経営のところを選んだ。
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モンペリエの旧市街は、歩いて回れる範囲なのだが、
やたらと曲がった細い道が、入り乱れて、交差している、という印象で、
とにかく、まともな地図なしで歩くと、
すぐに、どこをどう歩いているのかわからなくなる。
2度、自分の居場所はどこかを、ひとに聞いた。 |
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