|
06.リヨン
|
|
予報では35度ということだったが、さいわいそれほどではない。
|
ここのホテルの朝食は簡素で、クロワッサン、バゲット、それにバターとジャムのみ。
|
ただカフェ・ノワールはおいしかった。
|
まず、ペラーシュの駅舎の下にあるトラム(路面電車)乗り場へ行ってみる。
|
ホームの手前に乗車券の自動販売機があった。
|
ちょうど若い女性がその販売機で、券を購入していた。
|
トラムの券とメトロの券に区別があるのかを聞いてみたら、
|
「区別はなく、この券は両方に使える」ということだった。
|
ホームにトラムの係らしき人がいたので、パル・デュ-までの所要時間を聞いた。
|
20分ということだった。
|
さきほどの機械はコインしか使えない。
|
手持ちがないので、うえに上がってみると、新聞の売店があった。
|
そこのオヤジに
|
「カルネ(10枚綴りの券)はどこで買えるか」
|
「ここで」
|
ついでに、「メトロの路線図はあるか」
|
「ここにはない。案内所へ行ってくれ」
|
〜〜〜〜
|
リヨンに来て感じたことは、
|
これまで尋ねた相手のひとたちの応対が、総じて、親切で、かつ丁寧だということ、である。
|
にこやかな顔で、こちらの問い合わせに答えてくれる。
|
このことは、けっきょく、大都市パリと、地方の都市との違いのひとつ、でもあった。
|
〜〜〜〜
|
メトロA線に乗り、北へ向かう。
|
オペラ座のところで降り、西へ歩く。
|
橋(Pont de la Feuillée)を渡り、サンポール駅のところに出る。
|
家内が手洗いにゆきたいというので、駅の中に入り、ホームに出てみる。
|
ロ−カル線の列車が停まっている。
|
その方角から、運転士と車掌たちだろうか、3人づれがこちらへ歩いてくる。
|
われわれを見かけると「ボンジュール」と挨拶をして、駅舎内へ向かおうとする。
|
声をかけて、トイレのことを聞いた。
|
残念そうな顔をして、「ここにはない」
|
旧市街を南へ下る。
|
細い石畳みの道で、まわりの建物も古びている。
|
おそらく、住みごごちは必ずしも快適ではない、かもしれないが、
|
街としては趣きがあって、なかなかよい雰囲気を持っている。
|
〜〜〜〜
|
フュニキュレーア(ケーブルカー)の駅の前に出た。
案内所があったので、切符はどこで購入するのかを聞くと、
「メトロの券は持っているのか ? 」まだ未使用の乗車券を見せると、
|
「その切符で、このフュニキュレーアを往復、乗ることができるし、
1時間以内であれば、その同じ券で、メトロにも乗れる。」
|
|
|
pour tous とあるから、何にでも乗れるのかな、とは思ったが、
1時間以内云々のことは知らなかった。
|
ひょいと思いついて、
|
さきほど地下鉄で使い、何気なくそのまま、捨てないで、ポケットに入れておいた券を見せて、
|
「これはどうか?」と聞いてみた。
|
その刻印された日時を見て、首をかしげ、どうかな、という顔をするので、
|
「片道だけ使いたいのだが」と言うと、
|
「それなら大丈夫だ。」
|
家内がまた手洗いのことを持ち出す。
|
が、やはり、ここにもない。
|
階段を上り、フュニキュレーアに乗り込む。
|
発車までには、まだ、間がある。
|
車内に腰を下ろしてから、また思い付き、階段を降りて、
|
さきほどの案内所で、「路線図はありますか。」
|
「ある。」と小さいポケット用のをよこし、「大きい地図もやろうか?」
|
「どうもご親切に」と言うと、
|
礼にはおよばない、という仕草で、笑顔で、こちらの右肩の脇を軽くたたいて、
|
「ボン・ジュルネー(よい一日を)!」
|
〜〜〜〜
|
バジリク(パジリカ聖堂)・ノートル=ダーム・ドゥ・フルビエールの
|
脇のテラスからのリヨンの市街地の眺めは、なかなかに、よいものであった。
|
ここには手洗いがあった。
|
家内は駆け込んだ。
|
あとあとになってから、聞かされたことは、
|
「どうにもならないぐらい、おなかの調子が悪かった。
|
のこのこ地図をもらいにいったり、タラタラーと、なに悠長なことをやってんだー!
|
あそこ(聖堂脇)に(トイレが)あったのは、まったく天の助けだった。」
|
やれやれ、連れがそんなにひどい状態にあるとは、ほんとうに、露ほども知らなかった。
|
〜〜〜〜
|
テラスの横から下を見遣ると、急斜面の林の中を、つづら折りにくだる小道がある。
|
この道を歩いて帰ることにする。
|
木立の中の、じつに気持ちのよい道だ。
|
途中で山道は終わり、市道に出た。
|
まだ斜面は続くが、建物で埋まっている。
|
下を覗くと、建物群の隙間を、さらに下へとくだる石段が見えた。
|
段を降り切って、すこしゆくと、プリマシアール(大司教教会)・サン=ジョンの前に出た。
|
ボナパルト橋を渡り、ベルクーア広場に出、繁華街を北へ歩き、
|
市庁舎の東、オペラ座の北の広場で休憩する。
|
〜〜〜〜
|
地下鉄A線で南下し、途中、ベルクーアでD線に乗り換え、
|
サクス・ガンベッタで、さらにB線に乗り換えて、パール・デュ- に着く。
あしたのマルセイユ行きのTGVは、パール・デュ- 駅から乗らなければならないのだが、
この駅まで、地下鉄かトラムで来る必要がある。
|
が、やはり、地下鉄を使うと、荷物を持って、
A線からB線ついでC線へと乗り換えるのは、
かなり煩わしい。
それに加えて、地下鉄の駅とSNCFの駅はやや離れている。
見ると、トラムの停留所はSNCFの駅のすぐ前だ。
これではトラムの方がよさそうだ
|
from: Plan du métro et tramway de Lyon,
édition octobre 2003
|
|
ソンドイッチとタルトとを買う。
小銭が貯まりすぎたので、少々苦労して数えて出しした。
「合っているか?」
「パルフェ、メルシィ・ボクー」と、愛想のよいお姉ちゃんだった。
トラムに乗って、ペラーシュ駅まで戻ってみた。
乗り換えなしで、所要時間は17、8分だった。
|
〜〜〜〜
|
きのう買い物をした食料品屋で、
|
ボルドーワインとカンビールと柔らかめのサラミ(固めのはなかった)その他を買う。
|
〜〜〜〜
|
ホテルに戻るとフロントに年輩のオバサンがいた。
|
こちらを見かけると「サヴァ ? 」
|
こちらは笑顔で会釈をして、カギを受け取り、部屋へ上がる。
|
階段を上がりながら、思い出した。
|
そうだ、たしか「コモン・サヴァ ? 」のことで、「どうでした?」と言ってくれたのだ、
|
こちらも「サヴァ(よかったです、順調です)、メルシィ」と応えるべきだった。
|
〜〜〜〜
|
きょうのボルドーは、食料品屋に置いてある品物とはとても思えないぐらい、味がよい。
|
ほとんど空にしてしまう。
|
夜、けっこう暑い。
|
蚊がいる。何ケ所か刺された。
|
が、ここの蚊は毒素が弱いのではないか。さほど張れない。
|
少しづつ、フランス語にも馴れてきた。
|
片言で、ブロークンで、断片的なことしか喋れない、ということに何の変わりもない。
|
それゆえ、まあ要するに、感覚が鈍麻してきた、だけの話。
|
|
|
|