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03.凱旋門
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2日目になると、朝食の選び方も馴れてくる。
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9時前に外出。
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地下鉄7号線に乗り、ピラミードで下車する。
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コンコルド広場まで歩く。風が少しあり、涼しい。歩くには気持ちがよい。
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広場から1号線に乗り、ローズベルトで降りた。
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ひょいと思い付いて、メトロの駅員に、
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きのうの RER のアンヴァリットとサンミッシェルの間のことを聞いた。
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やはり、現在は工事中のこと。
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代替バスのことは知らないと、言っていた。
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ションゼリゼをぶらつきながら、Arc de Triomphe へ向かう。
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ガイドブックには9時半からとあったが、石壁の表示に、開くのは10時とある。
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10分ほど、待つ。
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切符売場がどこなのか、矢印があるのだが、それがどこを指してしているのか、判然としない。
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他にも、うろうろしている人がいた。
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が、なかに、さっさと石段を降りて行くが何人かいた。
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勝手がわかっている人と見えたので、その流れに付いて、階段を降りた。
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すると、地下道内の一隅に入場券の売場があった。
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そこで券を購入してから、また地上に戻ってきて、入口から中へ入る。
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屋上では、ひと回りして、パリ市内遠望の写真を撮った。
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昨日よりも空気が澄んでいるので、遠くまで、よく見える。
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凱旋門からは、大通りが12本も、放射状に伸びていた。
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なかなかの壮観である。
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そのうちの一本、北西の方向に伸びた広い道路のかなたに、高層ビル群が見える。
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その真ん中に、大きなモダンな門らしきものがある。
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あとで調べたら、La Grand Arche(ラ・グランダルシュ 新凱旋門)というものだった。
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ふたたび1号線に乗り、テュイルリーで下車し、テュイルリー公園で昼食をとる。
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ここは広くて、静かで、清潔で、かつ景色がよい。
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しばしの休憩ののち、1号線で、シャトレまで乗り、
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シャトレで降りたとき、またまた、ラ・セ-ヌの方向をひとに聞き、
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ションジュ橋を渡り、シテ島へ渡る。
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コンシェルジェリィ、サント・シャペルの脇を過ぎ、サンミッシェル橋の手前で左に折れ、
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警視庁の建物をぐるっと回るようにして、広場に出る。
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目の前に、白い大きな教会(サンミッシェル・ノ-トル=ダム)が現れた。
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屋上への入場者は長蛇の列であった。
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ゆえ、内陣だけを見て、引き揚げることにする。
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外に出たら、日差しが出てきた。とたんに暑さを感じる。
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シャトレまで戻ろうと、歩いてゆくと、メトロのシテ駅への入口が目に入る。
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ここには、アール・ヌヴォ-式のアーチが付いていた。
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曲線模様の独特な入口で、悪くない。
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が、何気ない感じのものなので、あまり目立たない。
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遠くからだと、全然わからない。
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まだ時間は、午後1時すぎだが、今日はこれでおしまい。
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シテは4号線の駅で、東駅まで乗り換えなしてゆける。
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が、買い物の都合上、北駅まで行って降りる。
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旅行者も、2日目になると、もう、半ば生活者。
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北駅の構内の乾物屋で、乾燥ソシソン(ドライ・ソーセージ)を1本買う。
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きのうも買ったのだが、そのときに、
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「3本とか4本だと、うんと値引きをする」と、ややしつこく勧められた。
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きょうも、その講釈を始めたので、「その話は昨日も聞いた」と言ったら、
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諦めたふうで、一本だけよこした。
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このソーセージは、豚肉を腸詰めにしたもので、タコ糸でぐるぐる巻きにし、
熱を加えずに、そのまま(生のまま)、固くなるまで、乾燥させたもののようである。
表面は、全体が、白いカビのようなもので被われている。
食べるときは、ナイフか包丁で、削るか、薄く輪切りにする。
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ともかく、その味は本物で、
ほんとうにいくら食べても飽きない。
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思い出した。
むかし、20年以上も前だが、初めてドイツに滞在したとき、
ふたりのドイツ人といっしょに、ハルツ山系を歩いた。
途中、岩に腰を下ろし、お昼にした。
食料は、こちらは、ブレートヒェンと、小振りの青リンゴしか持っていなかったが、
山歩きに馴れた方のドイツ人が、この固いソーセージをポケットから取り出し、
ナイフで削って分け与えてくれた。その味だった。
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長いバゲットを縦に割って(というか、「開き」にして)、
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あいだに具を挟んだものを、フランスではソンドイッチと呼んでいるようだ。
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乾燥ソシソンは、このソンドイッチに挟まっているサラミ・ソーセージと似てはいるけれども、 |
それとは少々異なる。
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いわゆる「サラミ」は、それはそれなりにおいしいが、
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この固めに乾燥させたものは、もっと味がよい。
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以後、今回の旅行中、食べ終わるたびに買い求めた。
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ところで、いろいろ買い物をして(主に食料だが)、支払いの段になると、
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店員は(どこの店でも)、エーロ(ユーロ)もソンティーム(サンティーム)も省いて、
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数字だけを、早口で並べたてる。
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それで、こちらは、たびたび聞き直さなければならなかった。
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20進法のなごりの数字(60+12 とか 4×20+15)が絡むと、なおのこと、
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この老化した頭は、反応するのに暇がかかった。 |
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