'04年・フランス漫歩の巻
03.凱旋門
2日目になると、朝食の選び方も馴れてくる。
9時前に外出。
地下鉄7号線に乗り、ピラミードで下車する。
コンコルド広場まで歩く。風が少しあり、涼しい。歩くには気持ちがよい。
広場から1号線に乗り、ローズベルトで降りた。
ひょいと思い付いて、メトロの駅員に、
きのうの RER のアンヴァリットとサンミッシェルの間のことを聞いた。
やはり、現在は工事中のこと。
代替バスのことは知らないと、言っていた。
ションゼリゼをぶらつきながら、Arc de Triomphe へ向かう。
ガイドブックには9時半からとあったが、石壁の表示に、開くのは10時とある。
10分ほど、待つ。
切符売場がどこなのか、矢印があるのだが、それがどこを指してしているのか、判然としない。
他にも、うろうろしている人がいた。
が、なかに、さっさと石段を降りて行くが何人かいた。
勝手がわかっている人と見えたので、その流れに付いて、階段を降りた。
すると、地下道内の一隅に入場券の売場があった。
そこで券を購入してから、また地上に戻ってきて、入口から中へ入る。
〜〜〜〜
屋上では、ひと回りして、パリ市内遠望の写真を撮った。
昨日よりも空気が澄んでいるので、遠くまで、よく見える。
凱旋門からは、大通りが12本も、放射状に伸びていた。
なかなかの壮観である。
そのうちの一本、北西の方向に伸びた広い道路のかなたに、高層ビル群が見える。
その真ん中に、大きなモダンな門らしきものがある。
あとで調べたら、La Grand Arche(ラ・グランダルシュ 新凱旋門)というものだった。
〜〜〜〜
ふたたび1号線に乗り、テュイルリーで下車し、テュイルリー公園で昼食をとる。
ここは広くて、静かで、清潔で、かつ景色がよい。
しばしの休憩ののち、1号線で、シャトレまで乗り、
シャトレで降りたとき、またまた、ラ・セ-ヌの方向をひとに聞き、
ションジュ橋を渡り、シテ島へ渡る。
コンシェルジェリィ、サント・シャペルの脇を過ぎ、サンミッシェル橋の手前で左に折れ、
警視庁の建物をぐるっと回るようにして、広場に出る。
目の前に、白い大きな教会(サンミッシェル・ノ-トル=ダム)が現れた。
屋上への入場者は長蛇の列であった。
ゆえ、内陣だけを見て、引き揚げることにする。
〜〜〜〜
外に出たら、日差しが出てきた。とたんに暑さを感じる。
シャトレまで戻ろうと、歩いてゆくと、メトロのシテ駅への入口が目に入る。
ここには、アール・ヌヴォ-式のアーチが付いていた。
曲線模様の独特な入口で、悪くない。
が、何気ない感じのものなので、あまり目立たない。
遠くからだと、全然わからない。
まだ時間は、午後1時すぎだが、今日はこれでおしまい。
シテは4号線の駅で、東駅まで乗り換えなしてゆける。
が、買い物の都合上、北駅まで行って降りる。
旅行者も、2日目になると、もう、半ば生活者。
〜〜〜〜
北駅の構内の乾物屋で、乾燥ソシソン(ドライ・ソーセージ)を1本買う。
きのうも買ったのだが、そのときに、
「3本とか4本だと、うんと値引きをする」と、ややしつこく勧められた。
きょうも、その講釈を始めたので、「その話は昨日も聞いた」と言ったら、
諦めたふうで、一本だけよこした。
このソーセージは、豚肉を腸詰めにしたもので、タコ糸でぐるぐる巻きにし、

熱を加えずに、そのまま(生のまま)、固くなるまで、乾燥させたもののようである。

表面は、全体が、白いカビのようなもので被われている。

食べるときは、ナイフか包丁で、削るか、薄く輪切りにする。
ともかく、その味は本物で、

ほんとうにいくら食べても飽きない。
思い出した。

むかし、20年以上も前だが、初めてドイツに滞在したとき、

ふたりのドイツ人といっしょに、ハルツ山系を歩いた。

途中、岩に腰を下ろし、お昼にした。

食料は、こちらは、ブレートヒェンと、小振りの青リンゴしか持っていなかったが、

山歩きに馴れた方のドイツ人が、この固いソーセージをポケットから取り出し、

ナイフで削って分け与えてくれた。その味だった。
〜〜〜〜
長いバゲットを縦に割って(というか、「開き」にして)、
あいだに具を挟んだものを、フランスではソンドイッチと呼んでいるようだ。
乾燥ソシソンは、このソンドイッチに挟まっているサラミ・ソーセージと似てはいるけれども、
それとは少々異なる。
いわゆる「サラミ」は、それはそれなりにおいしいが、
この固めに乾燥させたものは、もっと味がよい。
以後、今回の旅行中、食べ終わるたびに買い求めた。
〜〜〜〜
ところで、いろいろ買い物をして(主に食料だが)、支払いの段になると、
店員は(どこの店でも)、エーロ(ユーロ)もソンティーム(サンティーム)も省いて、
数字だけを、早口で並べたてる。
それで、こちらは、たびたび聞き直さなければならなかった。
20進法のなごりの数字(60+12 とか 4×20+15)が絡むと、なおのこと、
この老化した頭は、反応するのに暇がかかった。
< 前のページ