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16.ナーポリから、再びローマへ
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未明に、キーッと鋭いブレーキの音がした途端、「ドスン」という鈍い音。
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ほどなく、がやがやという人の声。
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少し間をおいてから、部屋の窓側の三重の戸を開けて、通り(片側1車線)を見下ろした。
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ほぼ真下の中央分離帯(といっても、巾がせいぜい30センチほどの、帯状の敷石)に、軽乗用車が、
敷石に乗り上げるようにして、斜めに停まり、その前には、人が仰向けに倒れている。 |
車と人とを取り囲むように、人垣ができている。
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パトカーが到着して、警官が降りてきた。
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5、6分ぐらいすると、救急車も来た。
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撥ねられた人は、幸い、命に別状はなさそうだった。
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ホテルでのチェックアウトのとき。
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リフトで1階に降りると、椅子が目に入った。
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そこに鞄を置き、顔を上げると、受け付けの男の姿が見えた。
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前へ進もうとした途端、「お父さん、カガミだよ!」と、娘に声をかけられ、ハッとして
立ち止まった。
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いやはや危ないところだった。
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あやうく、鏡に正面衝突するところであった。
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ナーポリ9時半発の列車でローマへ向かう。
サレルノ発ミラーノ行きのエウロシティ(ES*9436)で、車内は満員。
いつものごとく、こちらの予約席を空けてもらう。
テルミニの荷物預かり所の前は、行列をなしていた。
ほぼ30分ほど待って、荷物を預けたのち、テルミニから西南へ向かう。
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マッジョーレ教会を見てから、北上し、
(右回りに)オーペラ座の脇を通り、
レプッブリカ広場に出た。
さらに、ベルナルド広場で右に折れ、
財務省の前に出て、もう、テルミニに戻ることにした。
1時間半しか歩いていないが、
やはり、暑くて、午後はもうとても歩けない。
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from "Baedekers Reiseführer, Italien." Karl Baedeker Verlag, 1989, pp.484-485.
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軽く食事を済ませて、時間はまだ午後の2時過ぎにすぎないが、預かり所から荷物を請け出した。
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ゆっくりと、空港行きのエクスプレスの番線(26、27番線あたり)へと向かう。
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ちょうど、あと5分で、14時22分発の電車が出る、という時間だった。
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レイルパスを持っているが、特急の料金を払えばよいのかを聞くと、
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こちらのは2等のパスだからと(レオナルド・エクスプレスは全部の座席が1等とのこと)、
ほぼ全額を徴収された。
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今回の旅は、パスを持っているのに、ずいぶん余計に払わされた。
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Leonardo Express は1等車のみ、とうたっているのに、乗った車輛のエアコンが故障していた。 |
偶然か、2週間余り前、空港からテルミニに来るときの車輛のエアコンも壊れていた。 |
内の状態は、来たときと同じくサウナだが、他の客は真っ赤な顔をしながらも、耐えている。
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こちらは、席を立って、後ろの車輛の様子を見に行った。
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そこは冷房が、まあまともに効いているようだった。
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それで、すぐに荷物を持って、そちらへ移動した。
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その車輛内は七分ほどの入りだが、手荷物などが置かれて、席はだいたい塞がっていた。
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が、前の車輛のエアコンの故障のことを言い、少し場所を空けてもらった。
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空港関係者に、ターミナルA、B、C のうちの、どのターミナルに行くべきかを聞いた。
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教えられたC ターミナルに入ってから、チェックインカウンタの場所を聞いた。
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が、聞く度に、航空券の提示を求められた。
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券を見せて初めて、場所を教えてくれた。
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教えてもらったチェックインカウンタ391に行くも、係はまだ、だれもいない。
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離陸の5時間以上も前だから、止むを得ないか。
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チェックインカウンタは1階だったが、
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2階に待合室があったので、そこで時間を潰すことにする。
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チェックインカウンタのある1階の、そのロビィの上方は、回廊になっている。
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その回廊で、カラビニエーレ(憲兵)なんだろうか、自動小銃を構えて見張っている。
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ときどき、下の階に降りて(カウンタの用意が出来たかどうか)様子を見てはいたが、
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少し間をおいて、見に行ったら、いつの間にやら、大勢の乗客が集まっていた。
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すでに長い列ができていたが、まだチェックインは始まっていない。
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離陸の3時間ほど前になって、チェックインがやっと始まる。
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始まると、列はスムーズに動き、さほど待つまでもなく、順番になる。
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カウンタで、「荷物をふたつ預けたい、ひとつは機内に持ち込みたい、
マイルカードを持っている」ということを説明した。わかってくれたようだった。
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片言のイタリア語でも喜んでくれると、こちらにも使い甲斐があるというもの。
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家内と娘は、さっそく免税店へ向かい、こちらは荷物の留守番。
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All'aeropoto di Fiumicino / Leonardo Da Vinci, verso 18.30, giovedì 21 agosto 2003
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(この巻、了)
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