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12.ヴェネーツィアからフィレンツェへ
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駅の売店でサラーミとモッツァレルラのパニーニを買う。 |
「portare via か?」と聞かれて、はじめて、take away をイタリア語ではこう言うのを知る。
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テイク・アウェイそのままの表現だ。
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8時33分発のエウロスター(ES*9463)は7番線から定刻に発車した。
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始発のせいか、車内が空いている、と思っていたら、
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パードヴァではもう、満席になってしまった。
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フィレンツェのホテルにもエアコンが付いていた。
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しかも、我々の泊まるレヴェルの宿にしては珍しく、湯舟が付いていた。
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イタリアでは、付いているのがシャワーだけであっても、con bagno という表現になるようだ。
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部屋は広く、天井がずいぶんと高い。
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雰囲気は古めかしい。
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15世紀以来の古い建物らしい。
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外も内も、全体に、石造りで、
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調度品も、ライティングデスクやナイトテーブルや鏡台が、すべて丈夫なつくりの時代物。 |
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フェレンツェに来たゆえ、荷物をホテルに置くと、
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まずはウッフィツィ(Uffizi)美術館に行ってみた。
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すると1番の入り口に百メートルぐらいの列ができていた。
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最後尾についてみたが、二人組の若い警官が目に留まったので、
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「自分たちは予約をしていないが、ここに並んでよいのか?」
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「予約をしていないのなら、4番の入口へ行け。」
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それで、4番の入口に行くと、係員が立ちはだかっている。
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同じことを聞くと、
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「4番は予約者の入口。予約していないのなら、1番の列に並んでくれ。」
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いやはや、やり直しだ。
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元の列に並び直すために戻ってくるとき、先ほどの二人連れの警官とすれ違った。
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声をかけて、
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「予約をしていなければ、4番ではなく、1番の列に並べ、と言われた。」
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と言ったら、
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「あー、シィ」と、だけ。ぜんぜん意に介さない。
少しばかり、無駄をした。
50分ほど待つと、入ることができた。
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かの二人の警察官は、このあと、
こちらが並んで待っているあいだ、
美術館前の路上(ウッフィツィ広場)での
複製画の販売を、取り締まっていた。
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Galleria degli Uffizi には、評判通り、有名な作品がめじろ押しだった。
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見学者が群がるのも無理もない。
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フランチェスカの『フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロの肖像』は、何となく、
大きな絵と思い込んでいたが、実物は3、40センチ四方の小品だった。
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Piero della Francesca: Ritratti di Federico da Montefeltro e Battista Sforza
from
"Ministero per i Beni e Attività Culturali"
- Soprintendenza Speciale per il Polo Museale Fiorentino -
Prima edizione: novembre1999
Relizzazione editoriale die Giunti Gruppo Editoriale, Fireze
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la Venere di Urbino di Tizziano(ティッツィアーノの『ウルビーノのヴィーナス』)は、
夏休みでスペインのマドリードへ行っている由。
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ルーカス・クラーナハとアルブレヒト・デューラーのアーダムとエーヴァは、
イタリアに来て初めて目にした。 |
それぞれ、縦が2メートルほどもある、縦長の一双(油彩画)だった。 |
イタリア語で、Lukas Cranach il Vecchio: Adamo ed Eva、などと表示してあった。 |
あとで調べてみたら、デューラーの方は、二度目のイタリア滞在の折、
1507年に、描いているようだ。 |
クラーナハが、イタリアへ来たかどうかは、わからない。 |
いずれにせよ、後代のメーディチ家が収集したものなのだろうか?
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ここに置かれているそのいきさつを、その部屋の見張りに聞いたのだが、要領を得なかった。
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ドゥオーモ脇のサルミエーレで、おいしそうなスパゲッティが目に入る。
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けさ覚えたポルターレ・ヴィーアを使い take away できるかどうかを聞く。
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できるというので、ポモドーロが主のものと、ジェノーヴァ・ソースとかに絡めたものの
二種類を買う。
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他に、350ccの缶ビールを6本。
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宿の手前、サンタ・マリーア・ノヴェルラ広場の南端まで来ると、果物の売店があった。
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きょうは日曜日なので、ほとんどの店は閉じており、開いているのはごく僅か。
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が、さいわい果物も手に入った。
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ホテルの我々の部屋の大型の簡易クーラーは、今年の夏に急遽、取り付けたようで、真新しい。
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部屋の道路側の、大窓の下のやや幅のある石段(部屋の中にある)の上に、でんと据えてある。
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古くてぶ厚い窓枠を、いささか乱暴に凹型にくり抜いて(切り口が新しい)、
そこにホースを通し、外へ出してある。
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運転中は、かなりの音がするが、旧型の長距離フェリーの2等船室で聞こえる
エンジンの音並みで、そう苦にはならない。
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ドレイン用のビニールの管がポリバケツに突っ込んであるが、一晩で、
このバケツの縁近くまで水が溜る。
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我々の国と同じ電気蚊取りマットが用意してあった。
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もちろんプラグの形状は違う。
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蚊はいなそうだったので、使わなかった。
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