'03年・イタリア徘徊の巻
12.ヴェネーツィアからフィレンツェへ
駅の売店でサラーミとモッツァレルラのパニーニを買う。
portare via か?」と聞かれて、はじめて、take away をイタリア語ではこう言うのを知る。
テイク・アウェイそのままの表現だ。
8時33分発のエウロスター(ES*9463)は7番線から定刻に発車した。
始発のせいか、車内が空いている、と思っていたら、
パードヴァではもう、満席になってしまった。
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フィレンツェのホテルにもエアコンが付いていた。
しかも、我々の泊まるレヴェルの宿にしては珍しく、湯舟が付いていた。
イタリアでは、付いているのがシャワーだけであっても、con bagno という表現になるようだ。
部屋は広く、天井がずいぶんと高い。
雰囲気は古めかしい。
15世紀以来の古い建物らしい。
外も内も、全体に、石造りで、
調度品も、ライティングデスクやナイトテーブルや鏡台が、すべて丈夫なつくりの時代物。
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フェレンツェに来たゆえ、荷物をホテルに置くと、
まずはウッフィツィ(Uffizi)美術館に行ってみた。
すると1番の入り口に百メートルぐらいの列ができていた。
最後尾についてみたが、二人組の若い警官が目に留まったので、
「自分たちは予約をしていないが、ここに並んでよいのか?」
「予約をしていないのなら、4番の入口へ行け。」
それで、4番の入口に行くと、係員が立ちはだかっている。
同じことを聞くと、
「4番は予約者の入口。予約していないのなら、1番の列に並んでくれ。」
いやはや、やり直しだ。
元の列に並び直すために戻ってくるとき、先ほどの二人連れの警官とすれ違った。
声をかけて、
「予約をしていなければ、4番ではなく、1番の列に並べ、と言われた。」
と言ったら、
「あー、シィ」と、だけ。ぜんぜん意に介さない。

少しばかり、無駄をした。

50
分ほど待つと、入ることができた。

かの二人の警察官は、このあと、

こちらが並んで待っているあいだ、

美術館前の路上(ウッフィツィ広場)での

複製画の販売を、取り締まっていた。
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Galleria degli Uffizi には、評判通り、有名な作品がめじろ押しだった。
見学者が群がるのも無理もない。
フランチェスカの『フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロの肖像』は、何となく、

大きな絵と思い込んでいたが、実物は3、40センチ四方の小品だった。


Piero della Francesca: Ritratti di Federico da Montefeltro e Battista Sforza
from
"Ministero per i Beni e Attività Culturali"
- Soprintendenza Speciale per il Polo Museale Fiorentino -
Prima edizione: novembre1999
Relizzazione editoriale die Giunti Gruppo Editoriale, Fireze
la Venere di Urbino di Tizziano(ティッツィアーノの『ウルビーノのヴィーナス』)は、

夏休みでスペインのマドリードへ行っている由。
ルーカス・クラーナハとアルブレヒト・デューラーのアーダムとエーヴァは、

イタリアに来て初めて目にした。
それぞれ、縦が2メートルほどもある、縦長の一双(油彩画)だった。
イタリア語で、Lukas Cranach il Vecchio: Adamo ed Eva、などと表示してあった。
あとで調べてみたら、デューラーの方は、二度目のイタリア滞在の折、

1507年に、描いているようだ。
クラーナハが、イタリアへ来たかどうかは、わからない。
いずれにせよ、後代のメーディチ家が収集したものなのだろうか?
ここに置かれているそのいきさつを、その部屋の見張りに聞いたのだが、要領を得なかった。
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ドゥオーモ脇のサルミエーレで、おいしそうなスパゲッティが目に入る。
けさ覚えたポルターレ・ヴィーアを使い take away できるかどうかを聞く。
できるというので、ポモドーロが主のものと、ジェノーヴァ・ソースとかに絡めたものの

二種類を買う。
他に、350ccの缶ビールを6本。
宿の手前、サンタ・マリーア・ノヴェラ広場の南端まで来ると、果物の売店があった。
きょうは日曜日なので、ほとんどの店は閉じており、開いているのはごく僅か。
が、さいわい果物も手に入った。
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ホテルの我々の部屋の大型の簡易クーラーは、今年の夏に急遽、取り付けたようで、真新しい。
部屋の道路側の、大窓の下のやや幅のある石段(部屋の中にある)の上に、でんと据えてある。
古くてぶ厚い窓枠を、いささか乱暴に凹型にくり抜いて(切り口が新しい)、

そこにホースを通し、外へ出してある。
運転中は、かなりの音がするが、旧型の長距離フェリーの2等船室で聞こえる

エンジンの音並みで、そう苦にはならない。
ドレイン用のビニールの管がポリバケツに突っ込んであるが、一晩で、

このバケツの縁近くまで水が溜る。
我々の国と同じ電気蚊取りマットが用意してあった。
もちろんプラグの形状は違う。
蚊はいなそうだったので、使わなかった。
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