'03年・イタリア徘徊の巻
9-2.ミラーノからヴェローナ、そしてヴェネーツィアへ(2)
ヴェローナから、ヴェネーツィア・サンタ・ルチーア行きのインテルシティ(IC 617)に乗る。
5号車の、予約していたコンパートメントに行くと、

大荷物を持ったオバサン二人と黒人の若い男性が席を占めている。
予約していた席の番号を言うも、
「車輛は間違ってないのか」などと言い、動く気配がない。
もういちど車輛番号と席の番号を言い、予約を示す3枚のカードを見せると、
相手はようやく納得し、席を空けてくれる。
残りの座席には他の三人が、まだ座っていたが、
まもなく、やはり三っつの席を予約した、母娘

(顔立ちからすると、義理の娘か)と子供がやって来たので、
さきほどの三人と同じように、明け渡すことになった。
〜〜〜〜
車窓の両側の平地に(ワイン用の)葡萄畑が見える。
ドイツは、ライン河やモーゼル河などの岸の南斜面のみだったが、
イタリアは平地で栽培している。
「南の国」だから当然か。
〜〜〜〜

隣の家族に、

コンパートメントの窓のところに付いている、

効きの悪いエアコンのことをきっかけにして、

話し掛けてみた。

連日の暑さのことを言ってから、
車室の入口脇の予約札から、我々と同じくヴェネーツィアへ行くことを知っていたので、
「どこから来たのか?」
「イスラエル」
「ヴェネチアでは、親戚か友人を訪ねるのか?」
「いいえ、観光」
話しているうちに、オバアチャンはドイツ語が少しわかる、ということを聞き、
途中からは、英独伊のチャンポンになった(といっても、ときに単語が入れ代わる程度)。
この家族の話によると、
自分たちは、一週間の旅の予定であること、
ドイツ(ミュンヒェン)を見てから、イタリアへ来たこと、
ヴェネーツィアで少し過ごしてから、またミュンヒェンへ戻り、
それからレンタルのキャンピングカーを運転して、

ミュンヒェン近くの小さな、山裾の何とかという町を往復し、
ミュンヒェンから飛行機で郷里のイスラエルに帰る、
ミュンヒェンからイスラエルまでは、飛行機で4時間ぐらい、
ということだった。
ナーポリへ行ったことがある、というので、どこがよかったかを聞いたら、
「夜に、港の明かりが見えるところで、ダンスをするとよい」
「私はダンスはできない。

だいいち我々は毎日、陽が沈む前にベッドに入り、陽が昇る前に起きている」
と言ったら、おおげさに驚き、かつ、大笑いされた。
列車が、ヴェネ−ツィア・メストレ駅を出て、鉄橋(リベルタ橋)にかかると、

本島が見えてきた
まもなく、ヴェネ−ツィア・サンタ・ルチーア駅に到着し、互いに、
「会えて、うれしい。よい旅行を!」と言って、別れた。
〜〜〜〜
ヴェネーツィアの駅舎で予約窓口を見ると、
開いている窓口の数が多いのに、並んでいる人の数はそう多くない。
さほど待たずに予約できそうに思えたので、並んでいみる。
列はどんどん前に進み、たちまち一番前になる。
あとはどこかが空くのを待つだけ。
そのときちょっとよそ見をしていたら、
後ろに立っていた、小柄で気忙しげな中年過ぎの修道女から、

肩を(窓口が空いたと)強めにトンと叩かれた。
日付け、列車名、出発時間、乗車区間、パス所持のことを、

(小生としては精一杯)ササーッと言い、
三度目にしてようやく、すんなり二種類の予約券

(フィレンツェからナーポリと、ナーポリからローマ)を手に入れた。
〜〜〜〜
イタリアの特急(ICES)の席が空いていることはほとんどなかった。
もし予約なしに乗れば、立ち詰めになってしまう。
そして、割高だが、「インテルシティ」よりも「エウロスター」が、気持ちよく旅行できる。
インテルシティは車輛が古く、エアコンや、ときにトイレの具合もあまり良くない。
たまには鈍行で、ゆっくり辺りの景色を眺めながら、という気分には、
今回は、この暑さのなか、とてもとても、なれなかった。
〜〜〜〜
ホテルはすぐに見つかった。
駅前左手の通り、Lista di Spagna を歩いてすぐのところにあった。
ミラーノの宿だけは、見つけるのに苦労したが、あとの宿は、

駅の近くか、少し距離があっても、道順が単純で、わかりやすかった。
フロントには中年過ぎと三十ぐらいの、女性ふたりが、いた。
その若い方の女が、
「毎日とても暑いが、このホテルにはエアコンがない。

自分たちの(経営する)別のホテルがすぐ近くにある。そこにはエアコンが付いている。

そこに案内したいが、どうか。部屋代は(e-mail で取り交わした値段と)同じでよい。」
と言うので、喜んで承諾する。
別のホテルというは、駅寄りに3軒隣りのところだった。
部屋は十二分に広く、内装が少し飾りすぎの感はあるけれども、文句なしに快適な部屋である。
ドアの内側に貼ってある料金表をみたら、
この部屋は Alta Stagione (high season) のときは(今のシーズンは bassa=low)、

385ユーロとあった(我々の契約は150ユーロ)。
買い物がてら駅の方へぶらつく。
と、にわか雨、そして雷。
今回、初めての雨だが、ほんのパラつき程度で上がってしまう。
が、暑さが少し和らいだ感。
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