'03年・イタリア徘徊の巻
8.サンタ・マリーア教会やブレーラ美術館など
泊まっているホテルから、地下鉄ロレート駅へ行く道は、
その途中に安宿が並び、朝から、労務者風の外国人が、そこここにたむろしている。
そのそばには、パトカーが待機している。
駅前の広場の、歩道寄りには、救急車が停めてあり、救護隊員が行き来している。
その近く、歩道脇の角石に、くたびれた様子の若い女が、放心状態で、腰掛けていた。
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リーネア1(地下鉄1号線)に乗り、コンチリアツィオーネ駅で降りる。
駅員に尋ねようと、近づいて声をかけると、
聞くよりも先に、ふた又に分かれている地下道の右の方を指し、
「サンタ・マリーアはそこをディレット(ダイレクト)、出口を(出て)左に」
教会の受付で、「ダ・ヴィンチの晩餐(の部屋)」(Cenacolo Vinciano)の見学を求めると、
「予約をしていますか。」
「していない」
「いま申し込むと、見学は1時に。」
「1時に?」
午後ということばが出てこない、言う必要もないが。
すると、
「エクストラの料金を払えば、9時半に。」
「それでは、9時半にしたい。」
こちらのイタリア語が覚束ないゆえにであろう、
受付係のオネエチャンは、脇の待ち合い室を指して、
こんどは、片言の日本語で、
「ソコニ、10分マエ」
見学料金は6.5ユーロだが、予約していない場合、それに特別料金3ユーロが加わる、

ということだった。
予約をすれば、割増しはないが、予約料が1.5ユーロぐらい取られるから、エクストラは、

それほど割高ではない。
待ち時間が、あと40分ほどある。
サンタ・マリーア教会の中を歩き、前庭のベンチで休み、時間をつぶす。
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9時20分に待合室へ入る。

そのときに、受け付けの女性に、写真撮影のことを聞くが、

フラッシュを焚かなくとも禁止とのこと。

9時半からの見学は、20名ほどのグループだった。

係員に先導されて、ガラスの自動ドアの仕切りを2度、3度と、移動させられた。
グループの全員がそのガラスのドアの内側に入ると、

そのドアが閉まる。

そのドアが完全に閉じると、次のドアが開く、

という仕組みになっていた。

警戒は、かなり厳重である。
チケットに『晩餐』の一部分が刷り込まれている
かつては修道院の食堂だった、というホールの片面(壁)に、
レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci 1452-1519) の『最後の晩餐』

(Ultima cena) が描かれていた。
若い女性の係員が、イタリア訛りの英語で、この絵について、こと細かに解説をしていた。
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コンチリアツィオーネ駅に戻り、リーネア1でドゥオーモまで行き、そこで、リーネア3

(地下鉄3号線)に乗り換えて、モンテナポレオーネ駅で下車した。
警官にボルゴヌオーヴォ通りを聞き、その細い石畳の道を北西へ歩く。
小さな交差点で、子犬を連れたオバアチャンにもういちど聞いて、左に曲がる。
次の角を、もういっぺん左にまがって、要するに、駅を出てから、逆コの字型に歩いて、

ピナコテーカ・ディ・ブレーラの入口に着いた

Raffaello: Sposalizio della Vergine

Caravaggio: La cena in Emmaus
in: Pinacoteca di Brera, Milano
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ブレーラ美術館を見たのち、さきほどの小路を西へ歩き、カステロ広場前で、

プロシュット・クルード(生ハム)とポモドーロのパニーニを買う。
この店のオジサン、ウィンドウケースのコット(料理した)とクルード(生の)の表示を

間違えて逆に付けていた。
ミラーノの領主スフォルツァ家の城の中を通り抜け、センピオーネ公園(Parco Sempione)の

ベンチで昼食。
樹木が鬱蒼と茂り、落ち着いた雰囲気の公園。
ときおり、物乞いが来るけれども。
ひと休みののち、城の方へ戻る。
城の中庭から北東へ抜けて、地下鉄ランツァ駅からリーネア2に乗り、チェントラーレへ。
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駅構内西端のスーパーで、選んだ果物を計り器に載せるが、
どうしたわけか、果物の番号を押しても、値札が出てこない。
あとから来た若い連中5、6人も、うまくゆかず、英語でワイワイ言っている。
店内を見回すと、黒人の青年が目にとまった。
胸に名札を付けていないが、きちんとした身だしなみで、かつ、手ぶらなので、
「失礼だが、もしかして、あなたはこの店のアシスタントではないか?」
と聞いてみた。
「そうだ」と言うので、
「計り器がおかしい。」
「果物の番号を押せばよい。」
「それはわかっている。しかし、器械がうまく働かない。見てくれませんか。」
その器械のところへやってきて、自分で操作してみて、納得したようで、
若者の一団を、別な計り器の方へ導いて、それを使ってくれるよう促した。
若者のひとりが、こちらを振り向き、目で謝意を表した。
青年は、若者グループが計り終わると、我々の果物の包みを取り上げ、
計り、そして値札を貼ってくれた。
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48時間券は、行ったり来たり、あちこち動き回るときは、便利がよい。
明日の朝まで(制限時間内なので)、使える。
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