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8.サンタ・マリーア教会やブレーラ美術館など
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泊まっているホテルから、地下鉄ロレート駅へ行く道は、 |
その途中に安宿が並び、朝から、労務者風の外国人が、そこここにたむろしている。
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そのそばには、パトカーが待機している。
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駅前の広場の、歩道寄りには、救急車が停めてあり、救護隊員が行き来している。
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その近く、歩道脇の角石に、くたびれた様子の若い女が、放心状態で、腰掛けていた。
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リーネア1(地下鉄1号線)に乗り、コンチリアツィオーネ駅で降りる。
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駅員に尋ねようと、近づいて声をかけると、
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聞くよりも先に、ふた又に分かれている地下道の右の方を指し、
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「サンタ・マリーアはそこをディレット(ダイレクト)、出口を(出て)左に」
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教会の受付で、「ダ・ヴィンチの晩餐(の部屋)」(Cenacolo Vinciano)の見学を求めると、
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「予約をしていますか。」
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「していない」
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「いま申し込むと、見学は1時に。」
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「1時に?」
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午後ということばが出てこない、言う必要もないが。
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すると、
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「エクストラの料金を払えば、9時半に。」
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「それでは、9時半にしたい。」
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こちらのイタリア語が覚束ないゆえにであろう、
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受付係のオネエチャンは、脇の待ち合い室を指して、
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こんどは、片言の日本語で、
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「ソコニ、10分マエ」
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見学料金は6.5ユーロだが、予約していない場合、それに特別料金3ユーロが加わる、
ということだった。
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予約をすれば、割増しはないが、予約料が1.5ユーロぐらい取られるから、エクストラは、
それほど割高ではない。
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待ち時間が、あと40分ほどある。
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サンタ・マリーア教会の中を歩き、前庭のベンチで休み、時間をつぶす。
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9時20分に待合室へ入る。
そのときに、受け付けの女性に、写真撮影のことを聞くが、
フラッシュを焚かなくとも禁止とのこと。
9時半からの見学は、20名ほどのグループだった。
係員に先導されて、ガラスの自動ドアの仕切りを2度、3度と、移動させられた。
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グループの全員がそのガラスのドアの内側に入ると、
そのドアが閉まる。
そのドアが完全に閉じると、次のドアが開く、
という仕組みになっていた。
警戒は、かなり厳重である。
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チケットに『晩餐』の一部分が刷り込まれている
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かつては修道院の食堂だった、というホールの片面(壁)に、
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レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci 1452-1519) の『最後の晩餐』
(Ultima cena) が描かれていた。
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若い女性の係員が、イタリア訛りの英語で、この絵について、こと細かに解説をしていた。
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コンチリアツィオーネ駅に戻り、リーネア1でドゥオーモまで行き、そこで、リーネア3
(地下鉄3号線)に乗り換えて、モンテナポレオーネ駅で下車した。
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警官にボルゴヌオーヴォ通りを聞き、その細い石畳の道を北西へ歩く。
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小さな交差点で、子犬を連れたオバアチャンにもういちど聞いて、左に曲がる。
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次の角を、もういっぺん左にまがって、要するに、駅を出てから、逆コの字型に歩いて、
ピナコテーカ・ディ・ブレーラの入口に着いた
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Raffaello: Sposalizio della Vergine
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Caravaggio: La cena in Emmaus
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in: Pinacoteca di Brera, Milano
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ブレーラ美術館を見たのち、さきほどの小路を西へ歩き、カステルロ広場前で、
プロシュット・クルード(生ハム)とポモドーロのパニーニを買う。
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この店のオジサン、ウィンドウケースのコット(料理した)とクルード(生の)の表示を
間違えて逆に付けていた。
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ミラーノの領主スフォルツァ家の城の中を通り抜け、センピオーネ公園(Parco Sempione)の
ベンチで昼食。
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樹木が鬱蒼と茂り、落ち着いた雰囲気の公園。
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ときおり、物乞いが来るけれども。
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ひと休みののち、城の方へ戻る。
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城の中庭から北東へ抜けて、地下鉄ランツァ駅からリーネア2に乗り、チェントラーレへ。
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駅構内西端のスーパーで、選んだ果物を計り器に載せるが、
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どうしたわけか、果物の番号を押しても、値札が出てこない。
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あとから来た若い連中5、6人も、うまくゆかず、英語でワイワイ言っている。
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店内を見回すと、黒人の青年が目にとまった。
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胸に名札を付けていないが、きちんとした身だしなみで、かつ、手ぶらなので、
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「失礼だが、もしかして、あなたはこの店のアシスタントではないか?」
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と聞いてみた。
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「そうだ」と言うので、
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「計り器がおかしい。」
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「果物の番号を押せばよい。」
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「それはわかっている。しかし、器械がうまく働かない。見てくれませんか。」
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その器械のところへやってきて、自分で操作してみて、納得したようで、
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若者の一団を、別な計り器の方へ導いて、それを使ってくれるよう促した。
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若者のひとりが、こちらを振り向き、目で謝意を表した。
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青年は、若者グループが計り終わると、我々の果物の包みを取り上げ、
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計り、そして値札を貼ってくれた。
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48時間券は、行ったり来たり、あちこち動き回るときは、便利がよい。
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明日の朝まで(制限時間内なので)、使える。
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