|
6.フェルラーラ往復
|
|
ホテルの朝食のとき、かなりの年輩のお年寄りがふたり、世話をしていた。
|
我々にも、何かと親切に勧めてくれる。
|
コーヒィをと言うと、
|
「コン・ラッテか?」
|
これがまた、じつに、ローマのホテルのよりも、おいしい。
|
大きなポットに、泡立てたミルクをたっぷり入れて持ってきた。
|
濃いコーヒィが、カップの4分の1ぐらい、入っている。
|
そこにミルクをたっぷり注いで飲む。
|
半分ほど飲んでから、ミルクを、また継ぎ足しても、変わりなく、味はいい。
|
アランチャータも、ほんとうにおいしい。まさしくイタリアの天然ものだ。
|
〜〜〜〜
|
フェルラーラへは、往きが、
ボローニャ発 8:50 の IR(インテルレジョナーレ、横断列車、まあ準急程度か)、
帰りが、フェルラーラ発 12:00 ボローニャ行きのレジョナーレ(普通列車)。
|
もちろん、どちらも冷房はなし。窓は全開、それでも暑い。
|
〜〜〜〜
|
フェルラーラのカッテドラーレの前では、
|
自転車を脇にした年寄りが、そこここにグループを成して、談笑していた。
|
きょうは平日だし、格好も普段着と見えたから、 |
日常的に、午前中のひとときを、あるいはかなりの時間を、こうやって楽しんでいるのだろうと、
想像した。 |
みんな、おどろくほど活気があった。
|
〜〜〜〜
|
イタリアの長距離列車はどれも混んでいる。
|
予約なしに乗ったのでは、とても座れそうにない、ということがわかった。
|
ボローニャ駅の予約窓口は、さいわい、すいていて、昨日は楽に予約券を購入できた。
|
ボローニャがさほど大きな町ではないせいであろう。
|
こういうところは切符を買うには穴場だ。
|
それで、何日か先の分もまとめて、予約を申し込んでみることにした。
|
フェルラーラからの帰り、ボローニャ駅に降り立つと、すぐに行ってみる。
|
あらかじめ、
|
「レイルパスを持っている、3つの予約をしたい、全部2等で、3人分」と言ってから、
|
「8月14日、木曜日、ミラーノからヴェローナまで、出発は8時55分のエウロスター」
|
係員は、キーを打ち終わると、
|
「ポイ(次は)」
|
「14日、木曜日、ヴェローナからヴェネーツィア・サンタ・ルチーアまで、
出発は13時38分のインテルシティ」
|
「ポイ」
|
「8月17日、日曜日、ヴェネーツィア・サンタ・ルチーアから、フィレンツェまで、
出発は8時33分のエウロスター」
|
少し間をおいてから、合計150エウーロ以上を要求される。
|
「おかしい、我々はパスを持っている。」
|
「アーッ」と気が付いて、
|
「それでは、もういちど最初から言ってください。」
|
なんということを!
こういう日にちや数字を、2度も繰り返して言わなければならないとは、まったくもって、おおごとだ。
|
ともなく、なんとか三っつの列車の予約を取った。
日にちと発車時間とどこからどこまでかを、よくよく確認し、駅を後にした。
|
上: Venezia Santa Lucia から Firenze Santa Maria Novella までのエウロスターの指定席券
|
〜〜〜〜
|
駅前のバールで、パンツァロッティ(一種の揚げパン)、ポモドーロのピッツァ、
アランチーノ(中にカレー味のリゾット)を買う。
|
1リットル缶を、今日は3本にした。
|
大酒呑みのようだが、じっさいは純然たる水分補給で、
ぜんぶ空にしても、せいぜいもほろ酔い程度にすぎない。
|
アルコールの度数が低めで、
混ぜ物をしていない(醸造アルコールを混ぜていない)せいではないか(感覚的で、
根拠がないが)と思う。 |
1リットル缶は一種類しかなかった。味はよい。
|
350ccや500ccの缶は、割と種類があり、値段にも多少の差がある。
|
安い缶は概して、苦くて不味い。
|
〜〜〜〜
|
ローマでは、あちこちにある泉の水がおいしかった。
|
ボローニャもネプチューンの噴水(Fontane del Nettuno)の水がうまい。
|
この日も、買い物をしたあと、宿にはまっすぐに戻らずに、少し遠回りをして、噴水に立ち寄る。
|
2、3人が順番待ちをしている。
|
11、2歳の少年が、こちらよりもちょっと後に来る。
|
目が合うと、「ア・ケ・オーラ?」(Che ora è? や Che ore sono? ではなかった)と言うから、
時計を見せてやる。
|
と「グラーツィエ」と言うや否や、横から、ボトルをさっと注ぎ口に当てた。
|
さきほどの予約窓口でも、
|
三っつの窓口が客の応対をしていて、たいていの人は並んで、順番に、空いた窓口へ行くのだが、
|
出入り口寄りの、右端の窓口へは、
|
後から入ってきた連中が、ひとり、二人、ササーッと入り込んで、何くわぬ顔で切符を
購入してゆく。
|
窓口の係も、知ってか知らぬか、ぜんぜんそんなことにはお構いなし。 |
|
|
|