'03年・イタリア徘徊の巻
6.フェラーラ往復
ホテルの朝食のとき、かなりの年輩のお年寄りがふたり、世話をしていた。
我々にも、何かと親切に勧めてくれる。
コーヒィをと言うと、
「コン・ラッテか?」
これがまた、じつに、ローマのホテルのよりも、おいしい。
大きなポットに、泡立てたミルクをたっぷり入れて持ってきた。
濃いコーヒィが、カップの4分の1ぐらい、入っている。
そこにミルクをたっぷり注いで飲む。
半分ほど飲んでから、ミルクを、また継ぎ足しても、変わりなく、味はいい。
アランチャータも、ほんとうにおいしい。まさしくイタリアの天然ものだ。
〜〜〜〜
フェラーラへは、往きが、

ボローニャ発 8:50 の IR(インテルレジョナーレ、横断列車、まあ準急程度か)、

帰りが、フェラーラ発 12:00 ボローニャ行きのレジョナーレ(普通列車)。
もちろん、どちらも冷房はなし。窓は全開、それでも暑い。
〜〜〜〜
フェラーラのカッテドラーレの前では、
自転車を脇にした年寄りが、そこここにグループを成して、談笑していた。
きょうは平日だし、格好も普段着と見えたから、
日常的に、午前中のひとときを、あるいはかなりの時間を、こうやって楽しんでいるのだろうと、

想像した。
みんな、おどろくほど活気があった。
〜〜〜〜
イタリアの長距離列車はどれも混んでいる。
予約なしに乗ったのでは、とても座れそうにない、ということがわかった。
ボローニャ駅の予約窓口は、さいわい、すいていて、昨日は楽に予約券を購入できた。
ボローニャがさほど大きな町ではないせいであろう。
こういうところは切符を買うには穴場だ。
それで、何日か先の分もまとめて、予約を申し込んでみることにした。
フェラーラからの帰り、ボローニャ駅に降り立つと、すぐに行ってみる。
あらかじめ、
「レイルパスを持っている、3つの予約をしたい、全部2等で、3人分」と言ってから、
「8月14日、木曜日、ミラーノからヴェローナまで、出発は8時55分のエウロスター」
係員は、キーを打ち終わると、
「ポイ(次は)」
14日、木曜日、ヴェローナからヴェネーツィア・サンタ・ルチーアまで、

出発は1338分のインテルシティ」
「ポイ」
「8月17日、日曜日、ヴェネーツィア・サンタ・ルチーアから、フィレンツェまで、

出発は8時33分のエウロスター」
少し間をおいてから、合計150エウーロ以上を要求される。
「おかしい、我々はパスを持っている。」
「アーッ」と気が付いて、
「それでは、もういちど最初から言ってください。」
なんということを! 

こういう日にちや数字を、2度も繰り返して言わなければならないとは、まったくもって、おおごとだ。
ともなく、なんとか三っつの列車の予約を取った。

日にちと発車時間とどこからどこまでかを、よくよく確認し、駅を後にした。


上: Venezia Santa Lucia から Firenze Santa Maria Novella までのエウロスターの指定席券
〜〜〜〜
駅前のバールで、パンツァロッティ(一種の揚げパン)、ポモドーロのピッツァ、

アランチーノ(中にカレー味のリゾット)を買う。
1リットル缶を、今日は3本にした。
大酒呑みのようだが、じっさいは純然たる水分補給で、

ぜんぶ空にしても、せいぜいもほろ酔い程度にすぎない。
アルコールの度数が低めで、

混ぜ物をしていない(醸造アルコールを混ぜていない)せいではないか(感覚的で、

根拠がないが)と思う。
1リットル缶は一種類しかなかった。味はよい。
350cc500ccの缶は、割と種類があり、値段にも多少の差がある。
安い缶は概して、苦くて不味い。
〜〜〜〜
ローマでは、あちこちにある泉の水がおいしかった。
ボローニャもネプチューンの噴水(Fontane del Nettuno)の水がうまい。
この日も、買い物をしたあと、宿にはまっすぐに戻らずに、少し遠回りをして、噴水に立ち寄る。
2、3人が順番待ちをしている。
11、2歳の少年が、こちらよりもちょっと後に来る。
目が合うと、「ア・ケ・オーラ?」(Che ora è? Che ore sono? ではなかった)と言うから、

時計を見せてやる。
と「グラーツィエ」と言うや否や、横から、ボトルをさっと注ぎ口に当てた。
さきほどの予約窓口でも、
三っつの窓口が客の応対をしていて、たいていの人は並んで、順番に、空いた窓口へ行くのだが、
出入り口寄りの、右端の窓口へは、
後から入ってきた連中が、ひとり、二人、ササーッと入り込んで、何くわぬ顔で切符を

購入してゆく。
窓口の係も、知ってか知らぬか、ぜんぜんそんなことにはお構いなし。
< 前のページ