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3.ヴァチカン美術館、そしてテルミニの予約センター
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朝の天気予報は見落としたが、日中の気温は、昨日(35度)よりも高くなった感じがする。
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地下鉄に乗るべく、きょうは、宿のすぐ近くのカストロ・プレトーリオ駅(B線)へ行く。
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こんどはもう、すぐにわかった。
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きのう、切符の自動販売機が、ふたつみっつ、改札口の脇に置いてあるのを見ていた。 |
それを使って購入してみようと、硬貨を入れて、ボタンを押してみた。
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反応がない。
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こんどは、切符の種類と枚数のボタン押し、金額を表示させてから、硬貨を入れてみる。
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やはり戻ってくる。他のどの機械もダメ。
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改札口のところに若い駅員がいたので、事情を話すと、
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「やり方を教える」
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と言って、販売機の所に来てくれた。
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「まずボタンを押して、合計 2.31 と出たら、
端数の1チェントを入れる。
それから2ユーロと30。30が無ければ、40でもよい。
お釣りは出る。さあ、やってみてくれ」
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その通りにする。が、出てこない。
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脇で見ていてくれたかの駅員が、左のこぶしで、機械をドンドンドンと叩く。
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券が出て来た。
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「奇妙な機械だ。よそ者にはとても難しい。」
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「その通り。日本から来たのか。これは日本製ではない。XY製だ。」
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「それじゃ、XY人にはできるのか?」
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「いやいや」
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「ジョークだね?」
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「そう。この機械はイタリア製だ」
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お釣りは出てこない。
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またもやドンドンドンと叩く。 |
こんどは叩きの利き目がなかった。
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10チェンテージミだけの釣りだから、
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「釣りは、出なくともかまわない。」
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券に印字させて、ホームに入ろうとすると、家内の券は、なんべんやっても反応がない。
さきほどの兄チャンが、また出て来て、家内の切符を取り、仔細に見ていたが、
右隅の角が、かすかに、ちょっと目にはわからないほど、折れ曲がっているのに気づき、
爪先で、そこを丁寧に伸ばしてから、機械に入れてくれた。
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こんどは反応した。
「ナーヴァスな機械ですね。」
「イタリア製だ」
ということだった。
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テルミニで A線に乗り換え、昨日のようにオッターヴィオ駅で降りたが、 |
今日は、ヴァティカーノの北端に回り、美術館(ムゼーイ・ヴァティカーニ)に入る。
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内部は、進行方向は示してあるが、それがときに二手に分かれ、
しかも番号の表示がないので、二度、三度と行きつ戻りつしながら見て回った。
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ミケランジェロ(Michelangelo Buonarrotti)の傑作『最後の審判』("Giudizio Universale")が
描かれているという Cappella Sistina(システィーナ礼拝堂)の場所も、 |
係員に聞いたのだが、よくわからず、娘の後についてまわって、ようやく辿り着いた。 |
ラッファエルロ(Raffaello Sanzio)の『アテナイの学堂』
("Accademia di Atene")も観たが、
ラオコーン(右の写真)は見のがした。
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Laokoon, Marmor (Vatikan. Museen)
Aus: Der Neue Brockhaus.
F. A. Brockhaus, Wiesbaden 1974
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クレシェンツィオ通りを東へ。
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途中で出会った警官に聞き、間違いないことを確かめる。
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カヴール広場を抜け、カヴール橋を渡り、
そのまま直進して、左寄りに、コンドッティ通りに入る。
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高級品を扱う店が並んでいるが、我ら庶民には関係がない。
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スペイン階段をちらっと見てから、石段に向かって右の方へ行くと、少し道が入り組んで来た。
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昨日のこともあり、方向を確かめるため、ややしばらく地図と磁石とを眺めていたら、
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「Can I help you? 」
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と、小柄な老人が、見るに見かねてか、話しかけてくきた。
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それで、先に伸びる細い通りを指差して、Via Due Macelli かどうか尋ねてみた。
そして、イタリア人(外国人)らしくない英語のように聞こえたので、聞いてみた。
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すると、自分はイギリス人であること、リビアに何年、南アフリカには何年いてどうのこうの、
そしてロンドンでは5年を過ごし、と早口で、経歴を話し始めた。
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話がひと段落したところで、礼を言って別れ、道を先へと進んだ。
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モンテ・クイリナーレの下をくぐる隧道の手前で右折し、小路に入り、
しばし行くと、フォンターナ・ディ・トゥレーヴィに出た。
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二種類のパニーノ、娘はジェラート(アイスクリーム)、を買い、
噴水手前の日陰になった階段で昼食をとる。
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バルベリーニ駅から A線でテルミニへ。
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FS(国有鉄道)の予約センターが目に入った。
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レイルパス(トレンイターリア・フレキシィパス)に Validating Stamp を押してもらいがてら、
あさっての列車の予約をしておこうと、思い立ち、
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整理番号発券機のボタンを押して、紙片を受け取る。
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433番だった。
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いまは200番台のひとの番である。
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どれぐらい待つことになるのか、見当がつかないが、
ここは冷房がほどよく利いていて気持ちがよい。
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ためしに待ってみることにした。
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待ちながら、番号表示の電光掲示を見ていると、
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券をもらったものの、用が生じて、あるいは時間に余裕がなくて諦めたのか、
呼び出しに応じないひとが多い。
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それゆえ、番号の進みは、わりと速い。
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カウンタは9つほどあったが、
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開いているのは、こちらからは仕切りの陰になって見えない4番と、目の前の6番だけだった。
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目の前のカウンタのヒゲオヤジは、見ていると、若い女の客には愛想がよい。
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中年の男などが何か尋ねると、無言で発券機を指差したり、顎をしゃくったりしている。
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そのうちに、今度は、伝票のようなものをめくりながら、収支決算をし始めた。
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けっこうな数の人が待っているのに、応対している係は、4番のカウンタの一人だけになってしまった。
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それでも、番号はスムーズに進み、待つこと1時間、やっと順番が回って来た。
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4番のカウンタの係は、若い女性だった。
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「レイルパスの使用開始は今日からでよいか。期限は来週の日曜日までだが、それでよいか?」
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生返事で「ヤ」と言ったものの、少し解せない。
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「あさっての8:55のES*(エウロスター)は満席です。」
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その少し前に出るIC(インテルシティ)にする。
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カウンタ前の二つの椅子に、娘と並んで腰掛けていたのだが、娘にも期限のことを
指摘されたので、
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「さきほどあなたは、期限は来週の日曜、と言ったが、こちらはその後も、パスを使用したい。」
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「あなたは先ほど、それでよいと言った。」
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「これは、そもそもフレキシブルなパスであり、列車を利用する日を、私が選ぶことができる。」
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相手のシニョリーナは、もう一度パスを見ていたが、やがて、
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「わかった。私が間違えた。」
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と言って、期限の日付けを、17/8 から10/10 に訂正してくれた。
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テルミニ駅の地下をぶらついていたら、ここにもスーペル・メルカートがあったので、まとめ買いをする。
1リットルの缶ビールもあった。
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アランチャータ(オレンジジュース)は、Arance Rosse di Sicilia(真っ赤な色)や、
Arance Bionde(こがね色)を買ったが、どちらもとてもうまい。 |
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