'02年・イギリス瞥見の巻
9.イングランド西部からエディンバラへ
 宿を朝7時に出る。
 7時20分ごろに駅に着く。
 オフィシャルにクルー行きのバスのことを確認する。
 こちらの言うことに「イエス・サー」と、じつに折り目正しく、応答する。
 こういう態度には(美術館とか博物館の吏員、城や宮殿の係員などの)、その後も、何度か遭遇した。
 横柄でも卑屈でもなく、職務に忠実で、かつ自然な態度、と思えた。
 駅前には大型バスが2台、停まっていた。
 「後ろのグリーンのバスに乗ってくれ」と言われる。
 そして、乗ったら、間もなく、7:45発のバスのはずなのに(まだ7時半)、出発をする。
 その時間には、あとからまた追加のバスが来るのだろうか、と余計な心配をした。
 クルーまでは50分ということだったが、40分ほどで着く。
 途中の交差点は、たいてい、ラウンドアバウト(roundabout = merry-go-round 、米語では rotarytraffic circle か)というものだった。
 これは、どちらの方面へ曲がるにも、常に左折で、一時停止をしてから、サークルの車の流れを見、頃合を見はからってサークル内に入り、自分の行き先の路線へと左折する、というもので、
 信号はないし、車はつかのま一時停止をするだけで、どの方面へも、スムーズに曲がってゆける。
 無駄がなく、交差点全体の面積が多少広く必要なだけで、じつに機能的なものに思えた。
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 クルーに着いたが、エディンバラへ行く10時ちょうど発の列車に乗るのに、あと2時間弱も時間がある。
 時刻表を眺めていたら、8:40発のグラーズゴウ行きがあった。
 窓口で、この列車で、グラーズゴウで乗り換えて、エディンバラへ向かう方法はどうか、と聞いた。
「かえって遅く着く、直接エディンバラへ向かう10時発の列車に乗る方がベターだ」ということだった。
 番線は「11」とのこと。
 時間が余っているので、あちらこちらをぶらつく。
 6番線(東方向)のプラットフォームに降りてみると、かなり幅の広いホームで、この同じホームの西側の番線が11になっていた。
 おそらく、この駅止まりの線路が、このホームの(南)端に何本が入っているのだろう。
 この広いホームにもインフォメイションがあったので、暇つぶしに、コンピュータに何かを打ち込んでいる若い駅員に聞いてみた。
 すると、
「11ではない、こちらのホーム6に、右手(南)から入って来る」と断言する。
 これだから、何遍も確かめてみないといけない。
 ところが、プラットフォーム6で待っていると、
 9:55発マンチェスター行きが、少し遅れて、10時前に、6番線へ入って来た。
 すると、とつぜんアナウンスがあり、
「エディンバラ方面行きは11番線に入る」という。
 ホームにいる人たちがぞろぞろと移動する。
 いい加減というか、自由自在というか、何というか。
 大荷物を持っていると楽ではないと思うのだが、気色ばんで文句を言っているひとをついぞ見かけなかった。
 いや、いちどヴィクトーリア駅で、駅員に食ってかかっていた青年を見かけた、
 少し遠かったので声はよく聞こえなかったが、外見から推してアメリカ人、と見た。
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 車輛は最新型で、たいへん快適だった。
 席はほぼふさがっていたが、連れどもとはバラバラに、何とか、席が見つかる。
 そろそろお昼にしようと、用意を始めたころ、すぐ近くのテーブル付きの席を占めていた母娘が、カーライルのひとつ手前の駅 (Penrith North Lakes) で、降りる支度をし始めた。
 そして、そのときに、連れに、「席が空くからどうぞ」と言ってくれた。
 おかげで、ひろびろとしたテーブル付きのボックスに座ることができた。
 ビールを飲みつつ、チェスターで買ったポークパイを食べ、まだ少し残っていた£9.9のフランスワインをも飲みながら、じつに身持ちよく、ゆっくりと、お昼をとった。
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 13時40分に、ウェイヴァリィ・ステイション(エディンバラの中央駅)に到着した。
 駅のホームに降り立ったときから、すでに、何かしら異様な雰囲気を感じた。
 ウェイヴァリィ駅は、ニュータウンとオゥルドタウンとの間にあり、挟間(谷間)のような地形のところに位置している。
 階段を上り跨線橋に出て、段をまた少し上がって、やっと北側の通り(ニュータウンの側のプリンスィズ通り)に立った。
 両側に、とりわけ、南のオールドタウンの側に、暗褐色の、概して古めかしい建物が、一種独特な様相を呈して、そそり立っている。
 無骨な造りのエディンバラ城も右手(南西)に見える。
 こういう景観は初めてだ。
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 プリンスィズ通り(Princes Street) は、歩くのに難儀するほどの人また人。
 スコッツ・モニュメント、スコティッシュ・アカデミィを過ぎて、少し行ってから右へ、フレデリック・ストリートへ、と折れる。
 この辺りは道が東西南北に区画されているので(けっこう古く、18世紀の区画整理によるようだが)、通りの名前を頼りに、楽に目指す方向へ歩ける。
 ホテルはすぐに見つかった。
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 荷物だけ部屋に置くと、ただちに町へ出た。
 Princes St. を横切って、急斜面の Princes St.Gardens を下り、線路を跨ぐ橋を渡る。
 ふたたび急斜面のつづら折りの道をしばらく登って、エディンバラ城の前に出た。
 ちょうど国際フェスティヴァルのさなかなので、城の前の広場には、ミリタリィ・タットゥー(Millitary Tattoo) の見物席が鉄パイプで組まれていた。
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 城内を見学してから、あとは、例によって、スーパーM&Sで買い物をする。
 ワインは、もうひとつランクを上げて、スペイン産の£15(2700円)のもの (Lo Cavalo) にした。
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Daily Mirror:
Two mounds of freshly dug earth in woodland were last night being investigated by police ...
Jogger hears screams in woods, he reports to police on August 6
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