'02年・イギリス瞥見の巻
2.ハイド・パークを通り抜け、バッキンガム・パレスへ
 7時半に朝食。
 テーブルに着いて、グレープ・フルーツかオレンジのジュースを飲む。
 飲んでいるうちに、注文を聞きに来る。
 まず、ティーかコーヒィか、と。
 それから、イングリッシュ・ブレックファストだが、少し、中身の選択ができる。
 エッグズ (scrumbledfried)、ベィコン、ソーセィジ、トマト、ビーンズのうちから自由に組み合わせを選んで注文する。
 シーリアルズもいろいろな種類のものが置いてあるから、適当に選ぶ。
 パック入りだが、味はよい。
 これにたっぷりと牛乳をかけて、食べ初める。
 シーリアルを食べているうちに、か、食べ終わったころに、メインのブレックファストを持ってくる。
 トーストも持ってくる。
 トウストは、むかしアムステルダムのカウンタで食べたときは不味かったが、本場のイギリスのはうまい。
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 8時半には外出。
 マーブル・アーチの下の地下道を抜け、ハイド・パークに出て、公園内の東端を南へ下る。
 遊歩道沿いにカスターニエンらしき木が目立つ。
 通りがかりの人に聞いたら、chestnut trees とのこと。
 言われてみれば、クリの木、そのままだ。
 ぶらぶらと歩いて、2、30分ほどで、バッキンガム・パレスの西、ウェリントン・アーチに着く。
 グリーン・パークとバッキンガム・パレスの間を抜けて、セィント・ジェィムズィズ・パークに入る。

The city map above: from "Baedekers Reiseführer, London." 1988
 この公園内の湖にかかる橋から東方面への眺めは、小生の自習書のひとつ『英語の実践』 ("la pratique de l'anglais") には、
「湖の向うにホワイトホールの建物の尖塔と円屋根(キューポラ)が見え」"It has often been likened to a scene from the Alabien Nights." とかあったが、まさにその通り、なかなかに趣きのある景色だった。
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 バッキンガム宮殿の衛兵交替 (Changing of Guards) の時間の少し前、宮殿内のずっと左の方の柵の中で、衛兵の一隊が、整列をし、点検を受けていた。
 「左向け左」やら「回れ右」やら、いろいろと、交替前の訓練らしきことをやっていたが、これが、見ていてじつに面白い。
 カカトを鳴らしての方向転換とか、小刻みな摺り足での位置の微調整とか、邪魔くさそうなサーベルを下げた士官の独特な大回りの腕の振り方とか、
 端から見れば、じつにユーモラスなのだが、当人たちは表情ひとつ崩さず、大まじめにやっているところが、また、微笑ましい。
 後ろで、
「この兵隊たちは、ほとんどがハイティーンだ」
 と、年輩の男がその奥さんに言っているのが聞こえた。
 しばらくして、交替の時間になったときには、宮殿の前の一帯は、間を抜けるのがおお事なほどの大勢の見物客で埋め尽くされていた。
 ナショナル・ギャラリィを覗いてみたが、たいへんな量と質の絵画だった。
 フラッシュを焚かなくとも、撮影そのものが禁止。
 見て歩くことに、くたびれた。
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 ホワイト・ホールを下り、ホース・ガーヅを過ぎ、ダウニング街10番地は、鉄柵越しに眺めた。
 ウェスト・ミンスター・アビィを見てから、トラヴェルカードの使い始めに、地下鉄の入り口の階段を下る。
 ロンドンの地下鉄 (Tube) に乗るのは初めてだが、第一印象としては、じつに分かりやすく、そして機能的にできている、と思えた。
 最初、改札を過ぎて、後ろを見ると、家内が、顔写真の付いた身分証明書の方を、自動改札口のスリットへむりやり入れようとしてもがいている。
 声を掛けて、教えてやったが、駅の係りのオジサンが、面白がっていた。
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 ジュービリィ・ラインの西方面行き (westbound) に乗り、ボンド・ストリートで降りる。
 今日の食料を仕入れようとデパートSに入ってみるが、品数が少なく、これでは役に立たない。
 店内で、大きめの書籍売り場が目に留まったので、例の時刻表のことを聞いてみた。
 が、「一般にあまり利用をしないから、ない、」との話だった。
 隣りのスーパー風の店M&Sに入ったら、ここは、食料品の品数が豊富だった。
 M&Sは全国チェーンの店のようで、今回の旅行では、どこの町にもと言ってもいいぐらい、この店があり、大いに利用した。
 缶ビール (500ml) の価格はドイツの3ないし4倍の感。
 4本で£4.49 ゆえ、1本当たり£1.12(およそ218円)だから、日本よりは安い。
 ドイツでは、昨年のことだが、缶ビール1本が1マルク(56円)前後だった。
 買い物を終えて、外に出るや否や、小雨がとつぜん土砂降りになる。
 手近な店の軒先きで、しばし雨宿りをするが、止みそうにない。
 ここから宿までは割りと近いので、飛び出して、宿を目指して走った。
 5分ほどはかかり、着いたときには、びしょ濡れになってしまった。
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 フロントで、新しい部屋は5階 (4th floor) だと言われた。
「それではトップ・フローアか。」
 申し訳なさそうな顔をして「すみません」と言うので、
「運動のためにはいいかも知れない」と言ったら、苦笑いしていた。
 階段をぐるぐる上がるのは大ごとだが、こんどの部屋のシャワーからはお湯が出たので、まあよし、とする。
 ガラスの仕切りドア(防火ドア)がこまめに付いていて、階下からの階段から各階のフロアに出るところにも付いている。
 建物は、部屋が全部で 26 か 27 室の縦長の5階建てで、狭い建物なのにドアだらけである。
 しかも、この日になって気が付いたのだが、この細身の建物に、同じようにドアだらけの階段がもうひと組あった。
 こういう仕組みだと、仮にどこかの部屋から出火しても、他の部屋の客は煙りに巻かれずに降りられる、と思えた。
 このホテルの建物は、わりと有名な画家 (Edward Lear, Victorian painter and limerick writer, 1812-1888) の家だったようで、史的建造物のゆえ、防火に気を配っているのかもしれない。
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 スモークサーモン (oak smoked Scottish salmon) がうまい。
 山羊のチーズ (Cornish Goats Cheese) なるものは初めて食べた。
 癖のある感じだが、なかなかいける。
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