'01年・ドイツ再訪の巻
15.ライン川に沿ってフランクフルトへ
 7時過ぎに朝食をとる。
 9時半ごろ、精算を済まし、立ち去る前に、
ホテルの、頭が禿げて押し出しのよい、年のころ6、70の主人に、2、3の質問をした。
 ケルンは大都市なのに、道は割と曲線を描いているし、それに石畳みの横町があちこちにあるので、この前の大戦による被害はどうだったのか、と言ったら、
町は完全に破壊されたが、旧い地図をもとに、以前と同じに復元した由。
 また、1階が食堂で、上階に客を宿泊させるガストハウスのことを聞いたら、
もう今は、町中にはめっきり少なくなって、町外れとや田舎にあるぐらいだそうだ。
 このケルンの宿は、部屋や食堂の調度品からして、どうも個人の所有のように思われたし、それを兄弟で経営している風にも感じられたので、
もう少し、立ち入ったことを聞きたかったのだけれど、
後ろに、次にチェックアウトをしようという人が待っているのに気が付いたので、迷惑をかけると思い、やめにした。
〜〜〜〜
 マインツまで行くために、最寄りの特急に乗る。
 ユーロ・シティだった。
 席は、ほとんど塞がっていた。
 喫煙車輛に、いくつか空いている席があった。
 わずか1時間半の乗車だったが、このとき出くわした女車掌は、相手によってその態度を変えた。
 こちらにたいしては無愛想であった。
 途中から、予約券を手に、突飛ないでたちの(スイスないしもっと南へ行きそうな)老人とその妻が、小生の連れふたりのボックスに、割り込んできた(じっさいは、二人は席を予約していたのだから、割り込んだ、という表現は当たらない)。
 女車掌は、この連中にたいして(はた目には)いそいそと世話を焼いていた。
 老人は葉巻きをくゆらし始めた(喫煙車なのだから当然の権利である)。
 はす向いのボックスにひとりで座っていたおばさんが勧めてくれたので、連れはそちらへ席を移した。
 まもなくコーブレンツに着き、おばさんは降りた。
 老夫婦は、さきほどから、カード・ゲームを始めていた。
 かのへんてこりんな老人は、カードで調子づいてきたのか、静かな車内で、口笛を吹きはじめた。
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 マインツに着いたので、幸い、変梃老人とは別れた。
 Sバーンに乗ろうとしたのだが、ホーム全体が工事中のせいか、Sバーン専用のホームはなく、一般の列車と入り交じっていた。
 乗り換えには多少手間取ったが、ともかく、1時半ごろフランクフルト中央駅に着いた。
 今日も暑く、32、3度はありそうだった。
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